
かなり前にいただいた剪定鋏。
今のものは古くて使いにくかったので、とても嬉しく思いましたが
どうも美しすぎてなかなか使えずにいます。
さて昨年まで名久井農業高校には果樹を学ぶ園芸科学科がありました。
果樹地帯のこの地域にとって園芸科もしくは園芸科学科はシンボル。
マスコミの脚光を浴びることも多く、名農の学科の中でも別格の存在でした。
そういえば学校の向かいにプロの剪定鋏を作る鍛冶屋さんがありました。
昔、大学を卒業したばかりの先生が名農に赴任され
園芸科で教鞭を取ることになられました。
もちろん大学で学んで来られた果樹の先生。
勤めてまもなく自分用の剪定鋏を作ってもらおうとお願いに行ったそうです。
すると鍛冶屋さんは首を縦に振りません。
もっと体験を積んで一人前になったらこいというのです。
大量生産ではなく一から作る剪定鋏はまさに芸術品。
この話を聞いてさすがは果樹地帯だと感心したものです。
こちらは水稲や畑作担当だったので剪定鋏は縁遠いまま過ごしましたが
果樹担当のベテランの先生方はみんな西部劇のように腰に自分の鋏をぶら下げていました。
切れ味の良い鋏は気分の良いもの。
使ってこそ輝くという言葉もあるので、そろそろ箱からだそうと思います。
そういえばその先生、自分の鋏をその後手に入れられたのでしょうか。
尋ねないうちに退職されてしまいました。