10年ぐらい前に研究のために手に入れたシラネアオイ。
ご覧のようにクリスマスローズに似ています。
そう思って当時のメンバーは交配計画を企てましたが
サクラソウへの取り組みの比重がどんどん大きくなったことから
幻のプロジェクトとなってしまいました。
しかし今見るとクリスマスローズの花びら(本当はガク)5枚に対して
こちらは4枚と違います。また開花期も2週間ぐらい遅れます。
似ているようで似ていないようです。
それにしても薄紫の花は美しすぎます。
こんな花色のクリスマスローズが誕生したら大人気になること
間違いなしだと思います。誰かチャレンジしてみませんか。
さてシラネアオイは山芙蓉ともいいます。
タチアオイ、つまり芙蓉(ふよう)の花に似ていることからついた別名です。
タチアオイといえば思い出があります。前任校でタチアオイの
突然変異育種を数年間行ったことがあります。
全面協力してくださったのが理化学研究所の仁科加速器科学研究センター。
日本代表する大型加速器を使って種子に高速のイオンをぶつけ
DNAを切る重イオンビーム突然変異育種に参加させてくれたのです。
見学にも行きましたがダイナミックな施設には驚かされたものです。
用いた植物がタチアオイ。届いた種子を育て採種し、
さらにその種子を育てたところ花色こそ変化しませんでしたが、
極端に矮化したり開花きが数ヶ月早くなった個体が複数現れるなど
興味深い変化を示しました。最後に理研に報告書を提出しましたが、
最先端の技術に触れた良い思い出です。