この頃になると必ずといっていいほど取り上げる話題があります。
それが品種改良。育種の話です。
かつてTEAM FLORA PHOTONICSではイチゴや食用菊、
さらにバラやキキョウの育種に取り組んだことがあります。
またプリムラやクリスマスローズの交配もよくしたものです。
もちろん本命の研究は別にあるので、チームの育種は息抜きのゲーム感覚。
でも自分だけの花が咲くと面白くてとてもワクワクしたものです、
さてこれは育種の際に用いる食べる教材。「日向夏」です。
生産量が少ないので昔は手に入りにくかったのですが
今ではこの青森でも時々スーパーマーケットで見かけます。
食べたことがある人はお分かりだと思いますが、果肉がすっぱいんです。
したがってオレンジや温州みかんと比べるとあまり美味しいとは思いません。
では皆さんは、このような酸っぱいミカンをどのように改良しようと思いますか。
普通だったら甘みのあるミカンとの交配。誰もが果肉を甘くしようとします。
ところがこの柑橘はとんでもない変化をします。果実はそのままで
皮の内側についている内果皮という白い部分を甘くしたのです。
誰もが食べない部分を甘くするとはとても人間の発想ではありません。
事実、日向夏は偶然実生。人の手によらず自然が勝手に交配したものです。
遺伝子解析によって花粉親がタチバナであることはわかっていますが
種子親はいまだに不明だそうです。今年も食べながら常識をくつがえす
自然界の自由な発想を感じ取りたいと思います。