高校では2022年から新しい学習指導要領に基づく教育が実施されています。
ではどのような点が変わったのでしょうか。農業学習入門として位置づけられている
科目「農業と環境」の内容で比べてみましょう。まずは従来のもの。
(1) 暮らしと農業
(2) 農業生産の基礎
(3) 環境の調査・保全・創造
(4) 農業学習と学校農業クラブ活動
次は今年から実施されている新しいもの。
(1) 「農業と環境」とプロジェクト学習
(2) 暮らしと農業
(3) 農業生産の基礎
(4) 農業と環境のプロジェクト
(5) 学校農業クラブ活動
このように最新版は一番最初にプロジェクト学習がきている点が特徴的です。
また今まで扱っていた内容を「栽培と環境」「飼育と環境」という新設科目と
分けたにもかかわらず標準単位数を従来の3〜6から4〜6へと増やしています。
さらにプロジェクト学習そのものとでもいうべき「課題研究」の単位数も
4〜8から6〜8へと増やしています。
プロジェクト、つまり研究活動は農業学習の柱。
研究活動を通して農業を学ぶのだというより強いメッセージを感じます。
実は10年以上も前ですが、文部科学省で学習指導要領作成に携わり
従来の「農業と環境」を担当し、まとめました。これはまだ発表前の白表紙です。
そのため目標や内容などをいろいろ吟味したので、このメッセージがよくわかります。
当時、栽培経験がないからプロジェクトの指導できないと
なかなか研究活動をしない先生方が増えているという問題が話題になっていました。
したがってプロジェクトを推進させるために、指導要領の中に
プロジェクトという文言を意識的に増やしたものです。
あれから10年経った今、新しい学習指導要領の肝は「探究」。
それもありより一層強いメッセージになったのだと思われます。
プロジェクトは楽しいもの。生徒も先生も楽しみながら経験して欲しいものです。