日本には八百万の神といわれるようにたくさんの神様が祀られています。
今でこそ、お正月などの祭事に神社に足を運ぶぐらいですが
かつて青森県では、どの家にもたくさんの神様とともに暮らしていました。
私たちは12月31日にその年に感謝する年越し行事を行いますが
1年間の一番最後に行うのは神様を差し置いて先に年越しできないから。
なお青森県では年越しではなく年取りといいます。
青森県南には次のような神様の年取りの日(旧暦)が決まっていました。
11月23日は大師講様、12月5日は恵比寿様、8日は薬師様、
9日は大黒様、10日は稲荷様、12日は山の神様、15日は八幡様。
そして12月31日、一番最後に人間の年取りとなるのです。
でもこれはほんの一部。12月になるとどの家のお母さんも
毎日のように年取りの御膳を作るのが大変だったという記録が残っています。
また面白いのが神様によってお供えする食べ物が違うこと。
大師講様には「なべっこだんご」、へっちょこだんごともいうお汁粉にした料理です。
また大黒様、農神様、山の神様には「豆しとぎ」。
日本海側の津軽地方でしとぎといえば餡の入ったお餅の両面を焼いたもの。
しかしお米の採れない県南では生米にかさ増しするためのダイズを混ぜて作ります。
普段は粟や稗が主食の先人。いずれの料理も神様のために貴重なお米を使っています。
ではこのソバ餅はなんでしょう。ジュネ味噌(エゴマの味噌)を塗った
ソバ餅をお供えするのは薬師様。8本差し上げることになっていました。
お米が栽培できるようになった今でこそ、郷土料理として年中食べられますが
昭和初期は神様の年取りだけの供物。滅多に食べられるものではありませんでした。
12月になりました。神様の年取りが始まっています。