
名久井農業高校といえば地域に密着した緑化活動が代名詞。
決して都会の農業高校のように垢抜けてはいませんが
地域の皆さんと一緒に取り組むほのぼのとした活動が魅力です。
ところが時代が変わり、平成や令和になると工業の学習もできる
環境システム科が新設され、校内に工業の大きな実習棟が完成。
今までなかった溶接や配管、電気工事を学ぶ名農生が増えてきました。
農業と工業は同じ実業系の学習内容ですが、目指す道がまったく異なります。
したがって放っておくと農と工が次第に離れていき
気がつくとひとつの学校の中に農業高校と工業高校の二つが存在する事態になりかねません。
しかし環境システム科に県が期待したのは農と工の融合。
それを受けて名農が提案したコンセプトは農業体験や生物の知識を持った工業技術者、
工業の基礎的知識と簡単な作業なら自分でできる農業経営者の育成です。
施設園芸や企業チャレンジなどの学校設定科目は、まさにその目標を実現するために
考えられたアイデアです。しかしそれだけでは不十分。最も大切なのは指導者の意識です。
全国のどこにもこんな学校はありません。したがって今まで身を置いてきた
農業高校や工業高校の指導の常識は破棄して当たり前。
まったく新しい名農スタイルを構築する心意気と
新しい価値観を実現するアイデアが必要なのです。
世の中にないものをクリエイトするのはワクワクするもの。
生徒も指導者も失敗を恐れず先駆者目指してどんどんチャレンジしてほしいものです。
そんな新しい名農の農業教育を牽引するのは、今も昔も農業クラブ。
意識的にいろいろな仕掛けをして農と工を結びつける企画や行事に期待したいと思います。
満開のサクラと風力発電機。農工融合した新時代の名農にふさわしい風景です。