昨日、10年以上前に取り組んだサボテンの試験管栽培を紹介しましたが
目的は植物学的な探究ではなく、新しいインテリア商品の開発。
出来上がったものがこれです。ブルーの培地の試験管内にはサボテン。
その試験管は木製の台座に乗っていますが、その下にLEDライトがあって
パソコンのUSBから電気が供給されて輝きます。
「カクタスライト」と名付けられた商品は研究室のメンバーで自作したもので
文化祭で試験販売され、たくさんの注文を受けるなど大人気でした。
台座は青森ひば(アスナロ)。ひばを扱う下北半島の木工所に生徒と出向き
1日かけて自作させてもらったものです。
もちろんUSB端子で光るLEDも自作。ハンダゴテを持って何個も作りました。
人気の秘訣は、好きな種類のサボテンと培地の色を選べる楽しさもありますが
「共生」というユニークな商品のコンセプト。
サボテンはオフィスの中で働く人に癒しを与え、
人間はパソコンに電源を入れることでサボテンの生育に必要な光を供給。
まさにオフィスの中で人間とサボテンが共生してくというものでした。
植物をサボテンにした理由は成長が遅いから。2年間は試験管内で楽しめました。
実は培地に適した色を探るために数ヶ月かけて生育試験もしています。
その結果、やはり成長がいいのは光合成に必要な波長となる赤と青。
緑は落ち着きますが植物があまり吸収しない波長なので適さない色でした。
さらに一般に用いる寒天培地では白っぽく濁り、LEDの光が透過しにくいのでだめ。
実験の結果、透明になるジェランガム培地を採用。
可愛いカクタスライトですが、小さな工夫がたくさん詰まった商品でした。
特許はとれませんでしたがコロナ禍の今、もし商品化したら
もしかしたら大ヒットするかもしれません。
もう誰も作る人はいなくなりましたが、また作ってみたいものです。