春になっていろいろな植物が芽を出し始めています。
こちらをご覧ください。まんまるい形の芽が膨らんできました。
まるでふきのとうのような姿ですが、色が赤く奇妙です。
これはルバーブ。「蓼食う虫も好き好き」というタデ科の植物です。
和名では大黄。漢方薬の原料にもなります。
タデ、薬というワードから想像すると苦そうなイメージですが
食べるととても酸っぱいんです。砂糖との相性が良いことから
ジャムにすると抜群の味。食べたことがある人も多いのではないでしょうか。
ただ寒さや強光に当たると胆石の原因となるシュウ酸が増えるという欠点があります。
そのため海外では袋をかぶせて遮光して栽培する場合があるそうです。
この辺りでもルバーブ栽培は珍しくありませんが、遮光するとは初耳。
そこでピンときたのが2016年のフローラメンバー。
なんとふきのとうの葉であるふきの葉を地際から葉のすぐ下まで
オガクズや籾殻で覆ったのです。なぜならふきもシュウ酸が多い植物。
煮物にしないと食べられません。遮光したらシュウ酸が減るかという興味本位の研究でしたが
分析してびっくり。ほぼありません。生食するトマトやレタス以下ではありませんか。
遮光したので茎はウドのように真っ白。そこでスライスして洗って食べてみました。
するとえぐみなどありません。ドレッシングをかけると完全にサラダとして生食可能。
おそらくふきを生で食べた人はいないはず。シャキシャキした新食感は感動ものです。
この研究は2年繰り返し行われ、間違いないことを確信した後、
京都大学で開催されるテクノ愛で発表。すると新食材の誕生と評価されグランプリを受賞。
秋の京都で大喜びしたのを覚えています。
なお留意点は葉のすぐ下まで籾殻で覆う必要があること。ふきは日光に敏感で
少しでも茎が出ると緑色になってしまうのです。思ったよりも茎の伸長は早く
担当した彼は毎朝籾殻を足すのが大変だったと話していました。
今もなお馴化温室脇の大鉢からは当時のふきが毎年元気に葉を伸ばしています。
もう春。きっと顔を出しているはずです。