この本は日園連(日本園芸農業協同組合連合会)が
毎月発行している果樹の専門図書「果実日本」です。
嬉しいことに今月号に、名農が誇る園芸科学科のチームドローンの
研究成果が掲載されています。今でこそドローンと聞いても驚きませんが
彼らが取り組んだのは4〜5年前になるでしょうか。
農薬散布に使えると話題になり始めていた頃です。
そんな時にチームが注目したのは誰も手がけていない溶液受粉。
広大な果樹園にドローンを飛ばし、上空から花粉などの入った溶液を散布して
手間のかかる人工受粉の労力を軽減させるユニークなアイデアです。
今では実用化試験も行われ、スマート農業の新技術として確立されようとしています。
実はこのアイデア、意外と知られていませんが当初思いついたのはフローラでした。
産総研がドローン受粉の研究していることを知り、問い合わせたところ
花粉をつけた筆をドローンに持たせ、ハチのように受粉するというアイデアで
どちらかといえば操縦技術の話。実際に果樹園で行うことを想定した研究はまだないので
頑張ってくださいと逆にエールをいただいたぐらい最先端の発想でした。
しかし幅広い研究に着手できる環境班といえども、果樹に手を出すのは無謀というもの。
そこでもちは餅屋ということでプロフェッショナルの果樹班に提案したところ即実行。
数年間で実用化まで進めたのですから、その実行力、技術力には本当に驚きです。
さらにメーカーと組んで東京ビッグサイトで技術紹介するなど全国区の活躍をしました。
取り組んだ果樹班のメンバーをハンターズのように「彼ら」と紹介したくなりますが
園芸科学科は女子が多い学科。したがって開発に当たったのは女性エンジニア中心でした。
そんな園芸科学科も2020年から募集停止。現在の2年、3年生が卒業したら閉科となります。
名農で学べる主な農業分野は、野菜、果樹、草花、施設。
いずれも最後につく言葉は「園芸」です。名農園芸高校といってもおかしくない学校から
園芸科学科が消えてしまうのはとても残念です。
ぜひ彼女たちの成果をご覧ください。
昨日から始まった高校入試の願書受付。静かに世代交代が始まろうとしています。