今、青森県の店頭にはたくさんのリンゴが販売されています。
もちろん主流は「ふじ」ですが、それ以外の品種もいっぱい。
聞いたこともない品種もたくさんありチャレンジしたくなります。
産地ならではの贅沢です。このリンゴは「青林」(せいりん)。
生産量が少ない幻の品種といわれるらしく、初めて食べました。
それがまた甘くて美味しい。王林のようなシナノゴールドのような
風味もあります。しかし調べてみるとレッドゴールドの自然交配種。
何の品種と交配されたのかはわかりませんが、自然が作り出した名品です。
でも誕生地は岩手県。青森に似た名前なので勘違いしてしまいそうです。
さて青林は青っぽいリンゴですが、写真の果実は赤と緑の境がはっきりしています。
これはどうしてでしょう。もちろん赤いのは太陽をいっぱい受け
アントシアニンが合成されたところ。青や黄色の品種でも少し赤くなります。
では緑の部分はなんでしょう。よくみるとこの緑の形、葉っぱに見えませんか。
そうです。果実の上に葉があったため光が当たらず、そこだけ緑のままになったのです。
一般に万遍に光を当ててきれいに着色するよう
収穫が近づくと果実周辺の葉を摘んでしまいます。
ふじの場合、このような手間をかけた無袋栽培したものを「サンふじ」といいます。
しかし光合成をする葉を摘んでしまったら美味しくなくなるとか
労力削減との理由から、この青林のように葉をそのまま残す栽培法もあります。
これを「葉取らずリンゴ」といいます。
美味しいのですが、このように着色が悪いのが欠点です。
何十年も前ですが、生徒と東京でリンゴのアンケートをとったことがあります。
美味しい「葉取らずリンゴ」のPRのためでしたが、都民の回答にみんなびっくり。
かえってきた答えはリンゴは赤じゃなきゃだめ。味よりも見た目で決めます。
ほとんどこの回答でした。美味しいのに葉取らずリンゴが普及しないのは
リンゴに対するこんな根強いイメージがあるからのようです。
でも光を当てるための葉摘み作業は、本当に手間のかかるもの。
高齢化の進む農村。生産者も消費者も一斉に意識改革できないものでしょうか。