名久井農業高校の駐車場は校舎の前ですが
その校舎の南側を縁取るように細長い庭があります。
名前は「望岳の庭」。おそらくこの名前を知っている人は
もういないかもしれません。なぜなら命名したのは昭和の時代。
かつて名農が環境緑化コンクールで日本一を受賞した際にあらためて整備され、
生徒職員からの公募によって命名されたからです。
昔は表示がありましたが、木製だったため、もうなくなったのかもしれません。
緑化活動は名農のアイデンティティー。忘れないうちにまた掲げてほしいものです。
さてこの望岳の庭には何本か樹木が植栽されていますが
その1本の周りに、このような常緑の葉を持つ草花がぐるりと植えられています。
これはヘレボルス・オリエンタリス。ヨーロッパでの愛称はレンテンローズですが
日本では原種ニゲルとともに、クリスマスローズと呼ばれています。
これはハンターズの先代であるチームフローラフォトニクスが
結成した2009年から種子から栽培したもの。
研究費を調達する目的で一生懸命栽培管理しては名農祭で1鉢500円で販売していました。
当時は1鉢数千円、芽が出たばかりの苗でも1000円した時代なので
みなさん喜んで買い求められていました。
2018年をもってフローラは解散することになったので
その前年の2017年の秋に当時3年生のメンバーたちが、
売れ残っていたオリジナルハイブリッドをこっそりこの場所に植えたのです。
あれから3年経ちますが、ご覧のとおり全株とも元気。
4月になるときれいな花を咲かせています。
彼らの企みは成功したのですが、愉快犯としては大失敗。
なぜならこのクリスマスローズガーデンのすぐ前が駐車場になっているため
みなさんここに自動車をバックで止めて、校舎に向かいます。
したがって自動車のトランクを開けようと後ろに行かない限り
この庭の存在に気づかないのです。
校舎のすぐそばにあるのに誰も気がつかない。
知っているのはフローラだけ。まさに秘密の花園です。