
先日、校内で秋の名農らしい農産物を見つけました。
ご覧ください。名前は「南部太ネギ」。知る人ぞ知るご当地野菜です。
今から10年ほど前、在来種である南部太ネギは生産者が激減し
なんとたった一軒の農家だけが自家用として細々と採種しては栽培していました。
減少した理由は、南部太ネギの長所である柔らかさ。
時代とともに自給自足のための食材から、
現金収入を得るための商品となった南部太ネギは柔らかいため
輸送で傷つきやすいのが逆に欠点となり、流通から姿を消したのです。
しかし柔らかで甘い美味しさは変わりません。
そこで立ち上がったのが名農生物生産科の野菜研究班。
農家さんと連携しながら地道に種子を増やすとともに
新しい栽培法を考えて地元に普及を図っていきます。
すると町はもちろん、地域の料理店も新メニューを開発し、彼らを応援し始めます。
昔と違い、そこでしか食べられない在来種こそ価値があるといわれる時代。
名農の活動により、南部太ネギは鮮やかに復活。今や地元名物となりました。
このような野菜班の取り組みは高く評価され、東京の伊勢丹で販売されたり
人気番組「DASH村」でTOKIOのメンバーとともにテレビで紹介されました。
農業高校の王道である農業研究に地域を巻き込みダイナミックに取り組む野菜班と
かたやLEDを導入するなど斬新な活動を展開するフローラは両極。
しかしこれが功を奏し、名農プロジェクトの両輪として大活躍しました。
いつも思うのですが、農業の原点である経営プロジェクトが充実していてこそ
フローラのような自由奔放な異端児が映えます。もしこの逆だったら
農高としての評価は、今ほど高くなかったのではないでしょうか。
あらためて彼らの活動に敬意を表したいと思います。
そんな野菜班が大切に育てた南部太ネギ。
今年も美味しくいただきたいと思います。