これは水耕栽培で育つ焼肉でお馴染みのサンチュです。
環境システム科では水耕栽培温室そのものを教材として
栽培法、販売法、さらに工業的な視点から環境制御や電気関係などを学びますが
露地栽培と比べあっという間に成長する水耕栽培を初めて見た1年生はみんな驚きます。
なぜこんなに早いのでしょうか。外界から隔離された空間で
環境をある程度自動的に制御されて育つのが理由ですが、
肥料の濃度の違いも大きな理由としてあげられます。
一般に露地で栽培する場合、イチゴやレタスのECは0.4〜0.8mS/cm。
大きな実をつけるトマトでは0.8〜1.5で育てます。
ECは肥料の濃度と考えてよいので、イチゴやレタスよりトマトの方が
肥料のいっぱい入った畑で育てていることがわかります。
では水耕栽培ではどうでしょう。なんとイチゴは0.8〜1.5mS/cmと露地の2倍。
レタスやトマトに関しては、1.2〜3.0まで高くなります。
確か東日本大震災で津波被害にあった圃場のECが3.0程度。
つまり水耕栽培は塩害寸前の高濃度の肥料の中で強制的に育てるから生育が早いのです。
あまり話題となりませんが、水耕栽培で問題になるのはこの養液の廃棄処理。
処理せずに廃棄すると周囲の水質汚染につながるからです。
環境システム科ではこの廃液をどのように処理しているのでしょうか。
今まであまり気にしませんでしたが、ちょっと心配になります。
今年、ハンターズの元で研究をしているJr.の女子二人は環境システム科。
水耕栽培に興味があり入学したといいます。彼女たちの夢を壊す気はないのですが
ハンターズは、この意外に知られていない水耕栽培の問題点を彼女たちに正直に説明し
その対策研究を、一緒にサポートしながら取り組んでいます。
水耕栽培を学ぶ環境システム科ならではの環境研究。荒削りですが結果は秋に出ます。