日中、気温が30度近くまで上昇し、とても暑かったのですが
午後になると急に深い霧が発生してきました。
それと同時に気温も24度まで下がっています。
これが青森県の太平洋側で見られる偏東風の「ヤマセ」です。
北東から吹いてくる低温多湿の緩やかな風は
目で見ることはできませんが、
このように霧を携えてやってくるのですぐわかります。
太平洋から入ってくるヤマセは、川や平野を通って
内陸に進み、農作物の生育に影響を与えます。
特に昔はこのヤマセによってたびたび冷害が発生し、
米がまったくとれなくなり、多くの餓死者を出しました。
現在は耐冷性品種が開発され、この地域でも稲作ができるようになりましたが
それでも最近では平成に大きな冷害を引き起こしています。
面白いことに、このヤマセは山や丘陵によって進行が遮られます。
青森県には中央に八甲田連峰があるため、ヤマセはそれ以上先、
つまり津軽地方にまでは届かないのです。
したがって寒く霧の深い太平洋側から自動車で津軽に向かうと
八甲田連峰を越えたあたりで急に青空が広がるという不思議な現象を目撃できます。
津軽はリンゴと米の産地、太平洋側の南部地方は土の中で育つ
ニンニクやナガイモなど根菜類の産地。
青森県の地域による特産物の違いは、すべてヤマセが生み出したものなのです。