名久井農業高校は現在、生物生産科、園芸科学科、環境システム科の3学科があり
植物を教材にしながら農業の学習をしています。
しかしその昔、名農には畜産科という動物を扱う学科がありました。
飼育していたのは家畜は乳牛、肉牛、豚、鶏。
植物とは違い、ダイナミックな実習はこれぞ畜産という存在感を放っていました。
しかしもう10数年以上も前になるでしょうか、時代の流れもあって畜産科は閉科。
そのため名物だったオリジナルベーコンや牛乳などの加工品は姿を消してしまいました。
特にどこのスーパーマーケットにも出回らない
バターが蓋につくほど濃厚な瓶牛乳は人気でした。
でも最も閉科でがっかりされたのは、地元の保育園かもしれません。
動物園がないこの地域にとって犬やネコ以外の大動物を見ることができるのは名農だけ。
したがってよく子供たちが畜舎に来てはスケッチや観察などをしていたものです。
豚舎や鶏舎はすでに取り壊されましたが
現在の名農には当時の畜産科関連の牛舎や畜産加工室などの建物がまだ残っています。
しかし意外と皆さん忘れているのがこの獣魂碑。
校舎の裏手にひっそりと建っています。
これは加工実習や実験のために亡くなった家畜の霊を慰めるもので
毎年、職員が集まり手を合わせています。
「いただきます」の意味を実感できる名農の貴重な遺構。
機会があったら、在校生にもぜひじっくり紹介したいものです。