ニンニクの香りがする山菜の行者ニンニク。
天然物はちょうど今が旬らしく、このところ産直センターでよく見かけます。
環境システム科ではこの行者ニンニクの水耕栽培に取り組んでいます。
行者ニンニクはアサツキやニンニクと同じネギの仲間ですが
下部が太くなったり、大きな球根ができるようなことはありません。
茎と葉を食べる山菜なのです。
行者ニンニクやニンニクの主たる成分はアリイン。
面白いことにアリインは、それ自体無臭なのですが
アリインを含んだ葉や球根を包丁で切って空気の触れると
よく似た名前のアリシンに変わり、あの独特の香りを発するのです。
さて皆さんはニンニクの香りは好きですか。
香りは好きだし、健康にいいのはわかっているけれど
人に会う時はちょっと食べられないと敬遠する人が多いのも事実です。
そこで15年以上も前、生徒たちと面白い実験をしたことがあります。
それは香りのしないニンニク。とはいっても球根を噛まずに飲み込むのではありません。
なんとタンパク質分解酵素でニンニクの細胞をバラバラにしてしまうのです。
バラバラになった細胞は潰さない限り匂いはしないはず。
そこでニンニクとナガイモの2つで挑戦してみたところ、
確かにバラバラになったようなものがビーカーの底に少したまりました。
香りも弱く成功かと思いましたが、分解したのはごく一部だけ。
とても実用化にはほど遠いものでした。
また食品加工技術にはバラバラにしたものを集めて再成形する技術があります。
不揃いのナガイモをバラバラにして蒲鉾状に再度成形しようという試みも
同じように量ができず、うまくいきませんでした。
大失敗でしたが、いつだって生徒の発想は常識を超えています。
知識と技術が伴わず失敗しましたが、なかなかユニークなチャレンジでした。
ところで現在休耕中の名久井農業高校。
この環境システム科の行者ニンニクはいつ収穫され、誰が食べるのでしょうか?