キキョウ科キキョウ属キキョウ。日本の夏を代表とする多年草です。
英語では蕾が紙風船のような形をしているからバルーンフラワーといいます。
さて、ここにキキョウの花が5種類ありますが、
私たちはよく見る普通のキキョウは右の2つ。
青紫色で星のような5枚の花弁が特徴です。
ところが左の2つを見てください。
不思議なことに花弁が4枚しかありません。
さらに中央はもっと不思議な形をしています。
キキョウやナスの花は花弁の付け根がつながっている合弁花。
したがって花弁がバラバラになりません。
ところが中央の花は合弁花という大きな特徴が壊れ
プロペラのような細い5枚の花弁に変わってしまいました。
またよく見ると花の色の濃さもみんな違います。
この他にも開花期や草丈もかなり変化しているのです
これは以前も紹介した重イオンビームによる突然変異育種。
園芸科学科の2代目フローラが理化学研究所の協力をいただいて
加速器を使って突然変異を誘発させる実験から誕生した花なのです。
遺伝子組み換えと違ってどこがどう変化するかわからない突然変異。
このようにせっかく変異しても、この姿じゃ鑑賞に値しません。
突然変異育種は運頼み。ご指導いただいた理研の先生は
麻雀にたとえて「引きが強い人」が成功するよと笑っていました。
フローラが草花の育種の面白さ、奥深さを体験していた頃の研究です。