
これはご存知、名久井農業高校名物の「白いリンゴ」。
フローラが当時の園芸科学科2年生の男子によって結成された2009年、
同時に担当していた生物生産科と今は閉科した生活科学科生3年女子で結成した
アップルガールズにより開発された栽培法で誕生した純白のリンゴです。
また2009年の秋、京都大学で行われたテクノ愛に「メッセージアップル」と題して出場し、
グランプリを受賞した商品開発のアイデアでもあります。
今考えても、リンゴ農家の娘たちらしい可愛らしく優れたアイデアでした。
例えばパッケージ。一般にリンゴといえばダンボールや木箱に数十個も入っているもの。
ところが彼女たちは2個しか入らないオシャレな箱を考えました。
右下のグレーの箱がそのプロトタイプで、ニコニコした笑顔マークになっています。
内側には鮮度を保つため、二酸化炭素を吸収する炭の用紙が貼られていました。
ここで注目したいのはニコニコマークの目の色。白とピンクです。
これは中には白と赤のリンゴが入っているという意味。
リンゴには黄色や緑もあるので、中を開けずに配色が確認できます。さらに使い方もユニーク。
人が配色によって受けるイメージは世界共通であるという研究報告があります。
そこで彼女たちは、おめでとうの祝福の思いを伝えるにはもちろん赤と白、
あたたかな感謝の気持ちを伝えるなら暖色系の赤と黄や黄と白、
そしてスタートなどの意気込みを伝えるならフレッシュな寒色系の緑と白などの
配色を考えました。これも赤、黄、緑に白が加わったため可能になった機能です。
贈り手の想いを込めた2個入りのリンゴを携えて、花束のように手渡してほしい。
SNSの普及で希薄になった若者のコミュニケーション不足や
秋の贈答時期しか売れないリンゴ産地の抱える課題を解決する優れたアイデアは、
テクノ愛の後、朝日新聞の天声人語に取り上げられ、さらに数々の番組にも出演。
コピーライターの糸井重里さん、東急ハンズや伊勢丹のバイヤーからも大絶賛されました。
リンゴ農家の娘たちが考案した微笑ましいアイデアは日本中を一気に駆け巡りました。
そんな思い出深い白いリンゴですが、一番大好きだったのがキャッチコピー。
「想いを届けるデザインと技術」。
デザイン工学、感性工学で誕生した白いリンゴを的確に表現しています。
さてこのところ毎日のように青森県内でコロナ感染が確認されています。
そのため20日まで休校が延長された小中学校もあるようで、
せっかくのスタートが切れなくなりました。