かつてキノコ栽培研究を行なった際、最も困ったのが発生室。
ご存知のとおり、キノコは暗くて多湿な環境が必要です。
培養瓶で栽培しているキノコメーカーの発生室はなんと湿度90%。
室内に自動噴霧装置をつけて、まるでお風呂のような状態で育てるのです。
もちろん低温も発生の合図になるので、サウナでは無理です。
そこで考えたのが、イネの催芽室。モミの発芽を促す場所です。
この部屋には水があるうえ、真っ暗になる密室のため
加湿器でお風呂並みに湿度をあげることができたからです。
ではこのロッカーはなんでしょう。
これは発生させる前に菌糸を成長させるところ。
キノコは十分、培地内に菌糸が充満しないと発生しません。
したがっていかに早く菌糸を育てるかも大切な行程です。
培養瓶には空気は通すけれど、雑菌は通さないメンブランフィルターがついているので、
それほど気をつけることはありませんが基本、暗いところが大好きです。
そこで考えたのが、この小さなロッカー。
これは実験室に備え付けられている生徒用のロッカーですが
使っていない場所があったので、
中を70%エタノールで消毒して約1ケ月ほど培養させてもらいました。
まさに目的外使用。しかし試験区ごとにおけるので観察にはとても便利。
みんな小さな蓋をパタパタ開けながら調査したものです。
農業高校とはいえども、何かに特化した部屋などそうあるものではありません。
学校のあちこちをうろつき、ここでこれができるなど妄想するのは楽しいもの。
もし実験場所に困ったら、ぜひみなさんも校内探検してみてください。