この絵をご存知ですか。かの有名な日本画家、東山魁夷氏の代表作「道」です。
東山氏は何度か種差海岸を訪ねたことがあるそうですが
この絵はその時のことを思い出しながら描いた心象風景だといいます。
右の写真は現在の様子。描いた場所と同じアングルから見ていますが
明らかに風景が違います。訪ねた頃はまだ松が植栽されていない頃。
その後、防風林として赤松が植えられ、このように鬱蒼とした森になってしまったのです。
もうこのような状態は草原ではありません。
もちろんポリネーターのマルハナバチは棲めません。
したがってサクラソウだって繁殖できないのです。
でも震災から立ち直ったサクラソウは、フローラの調査によると株が増えています。
一見、良いことのように思われますが、実はそうでないことをフローラは突き止めます。
なんとハチがいないため、サクラソウは脇芽を伸ばして増えていたのです。
株が増えたように見えても枝を伸ばしただけ。つまりクローン繁殖です。
これでは遺伝的多様性がないため、いつしか寿命を迎えると
ごっそりと姿を消す運命にあるのです。
これを避けるには種子繁殖を復活させるしかありません。
つまり環境を整備してまたここにハチを呼ぶ必要があるのです。
しかしここは国立公園。これ以上は高校生には無理です。
そこでアジア国立公園会議や青森県への報告と提案を最後に
フローラはサクラソウ研究から撤退しました。
当時、いろいろお世話になった皆さんには心から感謝しています。
嬉しいことに現在、赤松の一部伐採が行われました。
土の中で長い間眠っていたサクラソウがいつか芽吹くとフローラは信じています。
まだご覧になったことのない方は4月下旬から5月上旬、ぜひ訪れて見てください。