今から20年ほど前から、高校生に大晦日とお正月で
何を食べたかを聞いています。
なぜなら昔からこの地域は大晦日である年取りの日にご馳走を食べ
お正月はその残りを食べるという農村文化があるからです。
理由は諸説ありますが、先人は日が沈むとその日は終わりなので
31日の夕食を食べる夜には、すでに家の中に
新しい年神様が来ていると考えていたからです。
神様をお迎えしての最初の食事だからご馳走を食べるというわけです。
調査を始めた最初の頃は、ほぼどの家庭もこの風習通りでしたが
食べる料理は煮しめや焼き魚などから、次第に寿司や焼肉に変わってきていました。
10年も経つと形勢逆転。大晦日は普通の食事で
逆にお正月には、お節料理などをいただくという都会風に変わります。
大晦日は年越しそばという中央の文化がだんだん浸透してきたのです。
祖父母と一緒に暮らさなくなったため
風習が継承できなくなったなど理由がありますが、少々残念に感じていました。
ところがここ数年では食文化はさらに大きく変わってきました。
なんと大晦日もお正月も、食事は平日と同じというのです。
逆に「何かご馳走を食べるものなの?」と尋ねられ困ることもあります。
最近は家族みんな忙しく働いているので、
特別準備するのが面倒になってきているのかもしれません。
中にはお餅を食べる習慣もない人もおり、びっくりします。
以前、これは貴重な調査なのでデータはありますかと言われましたが
残念ながらそんな正式な調査ではないため、頭の中に残っているだけ。
こんなにも変化するなら数値化しておけばよかったと反省しています。
さて今日は大晦日。この地域では年越しではなく年取りといいます。
皆さんは今晩、何を食べますか?
それでは良いお年を。