
環境システム科のビニールハウス。
今年はサツマイモの他に、トウモロコシも栽培しています。
先日、担当している先生から面白い受粉の仮説を伺いました。
トウモロコシはご存知の通り、雌雄異花。
1つの株に雄花と雌花が別々にあります。
茎のてっぺんにあるのが雄花。花粉を周囲に撒き散らします。
茎の下方にあるのが雌花。
絹糸(けんし)と呼ばれる雌しべで花粉を受け止めます。
しかし雄花と雌花の距離は1mぐらいもあるうえ
その間にたくさんの大きな葉が重なり合って出ているため
そう簡単に花粉は雌花に届きません。
でも面白いことに気づいたそうです。
てっぺんで噴出した花粉はすぐ下の葉に大量に落ちますが
その葉は立ち上がった形、つまり鋭角に茎についているので
その花粉は葉の根元に滑り落ちます。
しかし葉の根元は茎に一部しか密着していないので
そこからさらに下の葉にこぼれ落ちてしまいます。
それを3回ほど繰り返すと、なんと待っているのは雌花。
まるでNHKの子供番組「ピタゴラスイッチ」で出てくる
玉転がしというゲームによく似た仕組みだというのです。
観察していると確かに雌花の上の葉は、みんな花粉まみれです。
そんなシステムになっていてもおかしくありません。
ところが間違いが一つあります。
同じ株についている雌花と雄花は熟す時期が違うのです。
これは自家受粉を避けるためのトウモロコシの知恵。
したがってもっぱら時期がずれて出た別の株の花粉を受粉に利用します。
つまり自分のてっぺんの花粉を下まで運んでも受粉できないのです。
しかし他の花粉を大きな葉で受け止め
それを下にある雌花に運ぶには効果があるかもしれません。
もし葉の付け根をガムテープで茎に密着させたらどうなるでしょう。
もし結実に違いが現れたらこの説も一理あるかもしれません。
観察から生まれた面白い仮説。来年やってみましょうか。