
マツヨイグサが黄色の花を咲かせる季節となりました。
ツキミソウと呼ばれることもありますが
本当のツキミソウの花は黄色ではありません。
同じマツヨイグサの仲間ですが白からピンクに色変わりする花なのです。
「富士には月見草がよく似合う」とは太宰治の小説「富嶽百景」の名文句ですが
「黄金色の月見草の花ひとつ」という文も出てきます。
したがって太宰の月見草はマツヨイグサだともいわれています。
さてそんなマツヨイグサですが、
かつてフローラが花のネクターガイドを調査していた時、お世話になりました。
ネクターガイドとは植物が昆虫に発信する蜜のありかを示す蜜標。
昆虫が見ている紫外線で撮影すると花に浮かび上がってくる模様をいいます。
名前のとおりマツヨイグサは日中、
他の花とチョウやハチを奪い合うことを避け、
ひっそりと夜に咲き、蛾を招く生き方を選びました。
誘惑する武器は強い香りと大量の蜜といわれ
紫外線が利用できないため
ネクターガイドについては記載している資料はありませんでした。
そこでネクターガイドなど持っていないだろうと仮説を立て
撮影に臨んだところ、なんと立派な蜜標があるのです。
これはどうしてだと検討した結果、こんな結論を導き出しました。
マツヨイグサの咲く時間は夕方から朝まで。
つまりまだ明るいうちから咲いているのです。
また受粉を手伝うスズメガは夕方から飛ぶことがわかりました。
つまりこの時間帯はネクターガイドを活用できるのです。
夜は甘い蜜と強い芳香で誘惑、
それでもダメなら朝夕もネクターガイドで蛾を誘う。
かなりしたたかな作戦だと思いませんか。