何やら馴染みのない装置が並んでいます。
ここは環境システム科の小型水耕栽培温室「チャレンジハウス」。
3年生が3つのグループに分かれ
野菜の生産販売する模擬農業法人を設立し
その成果を競う学校設定科目「起業チャレンジ」の舞台です。
名久井農業高校にはこの何倍もある大きな水耕栽培温室がありますが
この温室は小型ながら、宇宙船のようにむき出しになった装置がずいぶんあります。
これには理由があるのです。
農業は座学で得た知識だけでは何の役にも立ちません。
体験を通して自ら考え、自ら知識と技術を学ぶ学習活動が重要です。
そのため多くの生産学科では農場に生徒用の畑を用意し
そこで自分の作物を栽培させています。
これは農と工の融合を目指す環境システム科にとっても同じです。
ただ環境システム科で扱う農業は水耕栽培。
したがって生徒が自分たちの意思で
栽培環境をコントロールできる栽培システムが必要になります。
そのため3つある生徒の農業会社のために用意された水耕栽培装置は
それぞれが独立した3つのシステム。
そのためこんなにも機器が設置されているのです。
普通の学校なら生徒が水耕栽培装置を勝手にいじったら大目玉をもらいます。
でもこの温室は逆。先生はやってくれないので
自分で考えて動かさなくてはならないのです。
誰だって自転車に乗れるようになるまでは何度も転びます。
この温室は転ぶためにあるといっても過言ではありません。
こんな贅沢な指導方針と施設は全国広しといえども名農にしかありません。
小さい学校ながらここで彼らは
確かな力とチャレンジ精神を育てているのです。