
7月も中旬を過ぎ賑わっていた南部町のサクランボも終わりを迎えています。
こちらは学校近くにある農家のサクランボ畑。
ご覧のようにビニールハウスの骨組みを見ると
樹木全体を大きなビニールハウスで覆っていたことがわかります。
目的は裂果防止。雨によって果実が割れてしまわないよう屋根をかけるのです。
今は収穫も終わり、ビニールはきれいに剥がされています。
さてサクランボやトウモロコシは日持ちのしない代表的な作物。
収穫してすぐに食べないと鮮度が落ちてしまうのです。
また特にサクランボは冷蔵庫に入れてしまうと逆に鮮度を落としてしまうという
たいへんデリケートな作物でもあります。
保存は光があまり当たらなく気温が上がらない冷暗所。
冷蔵庫だと気温が低すぎるようです。
とはいっても1週間も持ちません。すぐ食べてしまうのがベストです。
さて鮮度について面白い研究があるのをご存知ですか。
近赤外線をほんの数分照射するだけで気孔がしまって蒸散が抑制され
その結果、野菜の鮮度が伸びるという報告です。
実験ではレタスや小松菜など葉菜類を用いていますが
わずか数日ですが品質を保てるようです。
もしこの研究をサクランボに応用したらどうでしょう。
収穫後わずか2〜3日しか鮮度を保てないサクランボにとって
数日伸びるだけでお届け範囲が伸びることになります。
研究されたのは四国電力グループのある会社。
実は環境システム科を立ち上げる時に他の先生と二人でこの会社を訪問して
植物工場についていろいろ教えてもらったことがあります。
その際、力説されていたのが農学と工学の技術者や研究者の連携。
人工光などを用いた栽培研究は植物生理を知っている農学畑の人と
電気などに精通している工学畑の人が協力しないとできないというのです。
また世の中には残念ながらこの両方をかじった人が足りなく
今後、植物工場が普及していくにはこのような人材育成が大切だと話されていました。
「農と工のドラマティックな出会い」は環境システム科のキャッチフレーズですが
まさにこの時ご教授いただいたお話がベースとなっています。
さらに長年、植物に人工光を照射する研究に取り組んでいたフローラがいたからこそ
恐れずに環境システム科を設立できたかもしれません。
機会があればサクランボの鮮度保持の研究でもしてみましょうか。