5月2日に行われた[スペランツァFC高槻×アルビレックス新潟レディース]は、アルビが2シーズンに渡って1部リーグで揉まれていくうちに、相当な強さ・上手さを身につけたことを証明した試合となりました。

2006シーズン、アルビLは2部リーグで優勝して昇格、反対に高槻は2リーグに降格。
そして前者は2シーズンをディビジョン1で過ごし、後者は2シーズンをディビジョン2で過ごすことに。
この2シーズンの差が、5月2日、如実に結果となって現れた恰好ですね。

アルビレディースとスペランツァの戦闘能力の差は、予想以上に大きかった。
1対1の競り合いでは、9割方、新潟の選手が勝利。
パス・トラップ・フェイント・フィジカルコンタクト等々のテクニックもまた、アルビが上。
状況判断力も新潟の選手に軍配が上がる。

正直なところ、両者の力の差が、こうも離れているとは思わなかったですよ。
「地位は人を作る」というけど、ディビジョン1というステージで歯を食いしばって戦っているうちに、アルビレックスレディースは、1部リーグで戦うに相応しい強さを身につけていったんだよね。
「朱に染まれば赤くなる」というけど、スペランツァは、1部リーグとは比べものならないくらいレベルの低い2部リーグに2季も在籍するうちに、そっちの水に慣れてしまったんだろうな。

うん、この2シーズンの差は、デカかった。

高槻は1部リーグで戦うに当たって、TASAKIペルーレから澤田や河上らを獲得することで補強を図ったけども、その効果が出るには時期尚早だったようだ。


しかし、しかし!
大変に皮肉なことに、新潟と高槻の力量差があり過ぎたことが、5月2日のゲームで災いしてしまった。
それが、結果的に[1-0]というロースコアになってしまったのだと考えます。

高槻は、70%くらいの力でも充分に凌駕できる相手だったために、自分たちの「100%全力」を発揮するというスタイルを、知らず知らずのうちに、〝放棄〟してしまったんだと思うんですよ。
悪く言えば「手抜き」、良く言えば「流して」のプレー。


あの日、アルビのパス回しは、面白いように繋がったんですよ。
吾輩が観戦する限り、1部リーグの試合で、あんなにパスが繋がったのは記憶にないですね。

余りにスムーズにパスが渡りまくるので、“おお、スゲー”と喝采を送ったら、サポ仲間が“だって、高槻(のプレス)がユルユルだもん”と指摘されちゃって。
そう、冷静に状況をチェックしたら、高槻のボールホルダーへの寄せが〝なってない〟。

それに比べて、前節に戦った日テレベレーザの、ボール保持者への寄せのなんと厳しかったことか!
INAC神戸と浦和の選手たちのプレッシングもキツかった。
これらに比べたら、スペランツァの選手たちのプレッシャーなど、児戯に等しいもんです。

2部リーグ時代は、それでも通用したんだろうけど、1部リーグではお話にならないですな。
まあ、そのうち1部のスピードに慣れてくれば、プレスも厳しくなるんだろうけど、兎に角、現時点では〝ユルユル〟。

一方、新潟の選手は、ベレーザやレッズと戦っているうちに、鬼プレスを掻い潜ってパスを貰う・出すというテクニックが向上。
だから、高槻相手には尚更、パスが繋がったという、そういうわけ。


しかし、なまじパスが繋がるもんだから、これが却ってアルビレディースから「ダイナミズム」を奪ってしまうという皮肉なことに。

アルビLの攻撃というのは「スペース」の有効活用がキモ!
京都サンガの柳沢のように、誰かがスペースを作って、そこに味方選手が走りこみ、パスを受けてチャンスメイク―
サイドのがら空きのスペースにスルーパスを送ると、そこにSBもしくはSHの選手が長い距離を走ってボールを受けて、センタリングを上げる―
というように、「スペース」を作って・見つけて・走りこんで・パスを送って、攻撃を掛けるのが常套手段。
要するに、人もボールも動くフットボールってやつ。
そして、こういう戦術じゃないと、岡山湯郷やマリーゼなどのライバルに伍せないわけですよ。

しかし、高槻相手だとパスが苦もなく繋がるんで、パスは足元へ足元へ、となってしまったんですな。
みな、足元へとパスを受けたがり、スペースを突く動きは、全くと言っていいほど見られない。
その結果、ダイナミズムのないアルビLの攻撃は、バイタルエリアを固めた高槻の守備網を剥がし取ることが叶わず、シュートに持ち込めない。

一方の高槻は、アタッキングサードへの侵入もままならないけども、それでもよく動いて、積極的にミドルシュートを放つ―
まあ、苦し紛れ、という側面も強いんですがね。
それと前半は、風上だったんで、それを利してのシュート連発だったと思う。

この試合、アルビが試合を支配したのに、シュート数で比較すると、スペランツァが15本、アルビLは8本、という現象を引き起こしたのは、つまるところ、そういう理由から。

だがしかし、後半になったら、様変わり。
「スペースを有効活用」するフットボール、つまり、アルビレディースらしいサッカーが戻ってきたと!

モバイルアルビレックスの試合後談話で、奥山監督が
“足元のプレーばかりで長い距離を走ることができていなかった。
ハーフタイムに檄を飛ばして送り出し~”
と語っている。
奥山監督の修正が効いて、新潟は本来のサッカーを取り戻したわけですな。

事実、みな一様に長い距離を走り出し、スペースを突く攻撃を見せ始め、高槻ゴールに襲い掛かりましたよ。
中でも出色なのは、右サイドバックの伊藤知沙と、交替で右サイドウイングに入った口木未来。

知沙は、“君はジウトンか”と突っ込みたくなるくらい、FW顔負けに前線に顔を出しては好機を作る。
これはパスの出し手である上尾野辺や優理らの視野の広さも起因しているんだけど、右サイドのがら空きのスペースに、ライが走ってきて、そこで パスを受けると、巧みな切り返しで高槻のDFを交わし、シュートorパスを繰り出す。

前半とは打って変わった、躍動感ある攻撃を展開は「らしさ」が出ていて、良かったです。

ただ、奪えたのは1点のみ。
これは、単純に「決定力不足」だから。
サッカーの日本代表と同じこと。
日本代表が、中盤を支配し、チャンスを量産するのに、決定力不足でゴールネットをなかなか揺らせないのと一緒。
アルビレディースが1点に終わったのは、決定力不足から。

仮に、大石沙弥香がケガで戦線離脱してなかったら、彼女によって2点ないし3点奪えてたかもしれない。
でも、いない選手のことを嘆いても詮無きことで。
吉田瑞季や菅澤優衣香らのシュートテクニックの向上に懸けましょう。

なお、優理の決勝点は、FKから。
ゴール正面の25~30mくらいの位置でフリーキックのチャンスを得ると、それを上尾野辺がキック!
敵味方溢れるゴール前で優衣香がボールをキープすると、すかさず、左サイドにパス!
そこには、ノーマークの優理が待ち構えていて、〝がっとなシュート〟を放つ!
で、待望の先制点GET、というものでした。

優衣香が、2人3人に囲まれても、ボールをロストしなかったことが効いてましたな。


さて、次節のジェフレディース戦は、「走るチーム」なんで、プレスは厳しい。
だから、高槻戦のように、パスがばかみたいに繋がることは有り得ないでしょう。
ということで、必然的に、アルビレディースらしいサッカー、ボールも人も動くフットボールが見られるはず。

実力差があっても、自分たちのサッカーができないと、途端に苦戦することを実体験したアルビレディース。
高槻戦の反省を踏まえて、今季2勝目GETを成し遂げてもらいたい!!