犬飼基昭JFA会長曰く、
“夏場は選手のコンディションが低下し、比例してパフォーマンスも低下する。
お客さんに見てもらうことを前提にしているのに、質の高いゲームを繰り広げられないのは、申し訳ない。
だから、夏には試合をしないことにして、秋春制に移行するべきだ。”

“代表戦が1・2月に組まれることが増えていて、代表選手を中心として、選手のオフ期間が短くなっている。
オフ期間を確保するためにも、秋春制にしなくちゃいけない。”

いろんなメディア媒体に出ている犬飼会長の発言をまとめると、だいたい、上記のような理念を口にして、秋春制の〝正しさ〟を声高に主張しています。

ふむふむ、選手の肉体的コンディションに配慮したら、疲労の溜まる真夏のゲームは、避けるべきだよね。
ふむふむ、脱水症状を起こすJリーガーが実際に現れているのを鑑みても、蒸し暑い季節には、なるべくサッカーの試合をさせたくないというのが人情だよね。
ふむふむ、選手には充分なオフを与えなくちゃいけないよね。

選手の健康面、肉体疲労度などのことを考慮したら、なるほど、犬飼会長の言うとおり、過度に選手に負担を与えるようなスケジューリングは、考え物だわな。
選手が元気ならば、それだけ白熱した試合が期待できるわけだしね。


  だが待ってくれよ 犬飼会長

じゃあ、何故、ターンオーバー制は否定するの?
どうして、川崎や大分、千葉が先発メンバーを大きく入れ替えたことに、激怒するの?

    矛盾してっぞ、犬飼会長


昨季の9月のことを振り返ってみます。
AFCアジアチャンピオンズリーグの決勝ラウンドに進出した川崎フロンターレは、イランから帰国して、中3日で柏レイソルと戦わなくてはならず、また中2日でセパハンと試合をしなくちゃいけないという過密スケジュールを迎えてしまいました。
そこで、関塚隆監督は、ACL準々決勝第1レグのスタメンを休ませて、レイソル戦に臨むことにしました。
そして、休養を与えた選手たちを中心に、セパハンとの第2ラウンドに挑むという戦略を採ったわけです。

ところが、御承知のように、犬飼基昭Jリーグ専務理事は大激怒。
ACLクォーターファイナル第2ラウンドの行われている等々力陸上競技場に赴き、大学の後輩でもあるフロンターレの社長さんを面罵。
その模様が翌日のスポーツ新聞、並びに一般紙のスポーツ面に載ったこの事件は、皆さんの記憶に新しいはずです。

もし犬飼Jリーグ専務理事の言うように、時差ボケ・移動疲れ、中東の暑さ、それに試合そのものによる疲弊を省みず、スタメンを変更させずに、レイソル戦・セパハン戦に当たっていたら、十二分なパフォーマンスを川崎イレブンは発揮できなかったことでしょう。
質の低いプレー連発で、興行上の観点で言えば、最悪の3試合になっていたと思われます。

これ、犬飼会長が唱える秋春制移行の理念と矛盾してますよね。


そしてきのう6日、犬飼基昭JFA会長、今度は同様の理由で、大分トリニータとジェフユナイテッド千葉に激怒と来たもんだ。

“天皇杯を軽視するな、先発を大きく入れ替えるな”
という怒り様は、1年1ヶ月前と同じ構図。

おいおい、犬飼会長、それは間違っているぞ。
どうして不謹慎だと怒るのだ?
あなたが言う秋春制を導入の理念と大きく食い違っているじゃないですか!

あなた、選手のコンディションは大事であり、質の高いゲームをなるべく多く見せるべく、そのための環境づくりとして秋春制移行を唱えていますよね。
だったら、ターンオーバー制も認めて然るべきじゃないんですか?

シャムスカ監督は、ヤマザキナビスコカップ決勝戦から中3日での天皇杯、そして天皇杯4回戦から中3日でのJ1リーグ戦、これを乗り切るために、先発を入れ替えたわけです。
シーズンも終盤に入り、選手の疲労は溜まっています。
加えて、カップ戦ファイナルという、心身ともに疲弊の残る試合を激闘をしたばかりです。
事実、トリニータの複数の選手は、11月1日の試合途中で脚を攣りまくりだったそうじゃないですか。
そして東京から大分に戻っての試合。
そして中3日で、今度は優勝争いの懸かるリーグ戦が待っている。
だとしたら、シャムスカ監督が、天皇杯のスタメンを大きく変更して当たり前だよ。

犬飼会長に聞きたい!
疲労の抜けない選手たちを、中3日・中3日で起用し続けたら、質の高いパフォーマンスをお客さんに見せられないですよね?
そんな疲れ切った肉体で無理させたら、怪我を負うリスクが高まりますよね?
秋春制を導入したいのは、質の高いゲームをお客さんに提供したいからですよね?
選手のコンディションに配慮してのことですよね?

じゃあ、どうしてターンオーバー制は否定するんですか?
〝寸法〟が合わないじゃないですか!


片一方で、選手のコンディション配慮を主張し、質の高いゲームを見せるべく秋春制移行を唱える。
しかし、もう片一方で、選手の健康維持を無視し、質の低いゲームになってもいいから先発を入れ替えるな、と唱える。

思うに、トリニータがサガンに敗れたのは、いわゆる控え組の「力」が足りなかったからでしょ。
要するに、カップ戦覇者にはなったけども、大分は選手層は厚くなくて鳥栖に負けたってことでしょ。
もしも怒りの矛先を向けるのであれば、サガン鳥栖に勝てなかった、その先発メンバーの力量不足にぶつけるべきだよ、“そんなことでは、いつまで経ってもトリニータの先発になれないぞ”ってね。

第一、サガンは強いよ。
〝ベストメンバー〟だったアルビレックス新潟を屠ったくらいだからね(苦い笑い)


ジェフUもさあ、日本平→九石ドームという中3日でのダブル遠征試合によるコンディション維持を考えてのメンバー変更でしょ。
疲労困憊メンバーで戦って、結果、質の低いパフォーマンスに終始する危険性を感じ取って、ミラー監督はスタメンを入れ替えてきたんでしょ。

吾輩、アルビが横浜FCと戦うに当たって、先発を大きく代えるな!と書いたけど、仮に中3日での試合だったならば、そんな強く主張しませんよ。
中1週間だったから、そう書けたんです。


ホント、犬飼会長の考え方・哲学・理念が解せない。
なんで、こんなに矛盾しているのだ?

それとね、これは新聞に載ってないだけかもしれないのだけど、清水エスパルスもまた、ナビスコカップから先発を6人入れ替えて、天皇杯ジェフU戦に挑んでいるんですけど。
そのことについて、少なくとも新聞紙面上では、犬飼会長は怒っていませんな。
10人入れ替えだと怒り、6人だとセーフなんですか?
7人では激怒で、6人は許容範囲なんですか?
それとも勝利したから、批判しないんですか?
これって差別なんじゃねーの????

トリニータがサガンに勝利していたら、犬飼会長は咎めなかったんじゃなかろうか――そんな風にも想像できますのぉ。
“控えメンバー中心なのに、余裕で勝利して、流石はヤマザキナビスコカップ覇者だ”
って褒めていたような気がするなあ。

【犬飼会長が天皇杯の控え中心に厳罰化示唆】日刊スポーツ新聞

【“主力温存”大分、千葉を事情聴取へ】スポーツニッポン新聞

【犬飼会長に大分が謝った】サンケイスポーツ新聞

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