この間あるエコノミストが、6月をピークに円安が終わり
円高になるとの予測を出した。


 本当にそうなるのかどうか分からないが、普通、円安は
輸出企業に有利なので、ハイテクを始めとする輸出企業の
多い銘柄で構成される日本株市場は円安を良しとしている


 しかし、最近の円安は異常である。


 ドル円だけで見れば特に円安が進行しているようには見え
ないが、新興国通貨の影響で日銀発表の実効為替レート換算
では約二十年来の円安であり、しかもこのトレンドが続いて
いる状態にあり、世界の外貨準備高の円の占める割合も低い
ままである。


ここまで安くなってしまうと逆に日本株には悪影響ではない
だろうか。


 日本株は外国人投資家にとっては円建て資産である。
よほどの株価急騰、外貨建て資産を持っていない限り多少
騰がっても円安トレンドで相殺されてもおかしくはない。
彼らのPFに組み入れるにはちと苦しいのではなかろうか


 8/17の日経平均800円以上もの急落を思い出して
いただきたい。


 その日は株価下落と円高が同時に急速に進行している。
円高が進んだ分、外貨ベースでの株価急落は抑えられ、
その分株を売りやすくなったのでスパイラル的に急落が
進んだと考えても別におかしくは無いだろう。


 円キャリートレードの巻き戻しによる円高を危惧する声
も聞こえるが、これを機会に円安トレンドがある程度止ま
れば逆に円建て資産の買い安心感が外国人投資家に広がって
日本株には追い風になるのではないだろうか。


 特殊かもしれないが、こうなってもおかしくない例がある
ITバブルが始まる直前に円安トレンドが一転、円高にトレ
ンドが転換している。今回もそうなるかどうかは分からない
が少なくとも一考の価値はあるだろう。