病気がみえるシリーズ⑨

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〇神経性やせ症

体重減少性無月経の一種。


現実のストレスを回避する心理的要因により過度の食事制限を行い、著しいやせをきたす疾患。

要するに異常なダイエット、痩せ過ぎ。

体重減少により無月経や様々な内分泌・代謝異常をきたす。

 

多くは10代前半~30歳までの女性に見られるが、男性も増加しつつある。

 

基本的に標準体重の-20%以上のやせがある。

 

拒食、または大食いや隠れ食いと排出行為がみられ(食の異常行動)、体重増加・肥満に極端な恐怖を持つ。

 

病識はない。

 

状態、症状として

・徐脈、低血圧、低体温などの低代謝状態

・低血糖、脂質異常、汎血球減少、肝機能障害などの飢餓状態

・第2度無月経または第1度無月経

がある。

 

各種検査にてやせの原因となる器質性疾患がない。

  ⇓

神経性やせ症と診断。

 

 

 

●治療

 身体面と心理面の両面に対する治療を行う必要がある。

 ある程度の体重回復後に病識認知の歪みを正し、対人関係スキルやコーピングスキル(ストレス対処スキル)向上を目指す。

 

 1.栄養面の治療

   経口摂取が不可能な場合は

   経管栄養、経静脈栄養

 

 2.精神面の治療

   支持療法、認知行動療法、対人関係療法

 

 3.無月経の治療

   体重回復により改善することが多い

   必要に応じてカウフマン療法を行う

 

 

 

 

●内分泌・代謝異常

 ストレスや飢餓状態により様々な内分泌異常をきたす

 

 1.副腎

   ストレスにより副腎皮質刺激ホルモン

  (ACTH)が増加

   それによりコルチゾールが増加する

   高血圧、糖尿病、骨粗鬆症等のリスクが

  高まる。

 

 2.ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)

  の低下

   エストロゲンやプロゲステロンが低下

   それにより、無月経や骨密度の低下を招く

 

 3.飢餓状態

   血糖上昇作用や脂肪・たんぱく分解、

  代謝抑制に悪影響

   重症例では低血糖性昏睡、肝障害、腎障害

  がある

   その場合は緊急治療が必要になる

 

 

●補足

 排出行為とは自己誘発の嘔吐、下剤・利尿薬の乱尿等を指す。

 

 似た疾患で単純性体重減少性無月経と下垂体機能低下症がある。

 下垂体機能低下症は神経性やせ症ほど重症のやせは呈さない。

次回 月経関連:単純性体重減少性無月経