第3話 悪者を見破る能力を進化させてきた人間 | 神戸 三宮バー カクテルが美味しい BARSAKAI

第3話 悪者を見破る能力を進化させてきた人間

悪者を見破る能力を進化させてきた人間






進化心理学の考え方によると、イヌは嗅覚を高度に発達させることで生き残っ

てきました。コウモリは超音波を聴き分ける能力を身につけたものが淘汰を免

れました。同様に、社会的な存在である人間の場合は「悪者を見破る能力」

を、進化の過程で異常に発達させてきたのです。


さまざまな人間が蠢く社会のなかで、「見破り能力」を発達させられなかった人

は誰かに騙され、生きのびることができませんでした。今日生きている私たち

はみな、騙されない能力を発達させることに成功した人々の子孫であり、「悪

者」を瞬時に検知する遺伝子を強力に受け継いでいるのです。このことは以下

の実験からも証明できます。

まず「ウェイソンの実験」と「コスミデスの実験」です。図2の2問のクイズは、両

方とも論理構造は全く同じで難易度にも差はありません。しかし、正答率は「数

字・アルファベットの問題」より「未成年者の飲酒に関する問題」のほうが格段

に高いのです。


これは、人は純粋に論理学的な問題より、社会ルールの違反者を発見すると

いう人間関係にまつわる問題に対してのほうが、アンテナがより高感度に働くと

いうことを表しています。心理学者コスミデスは、このような心理的メカニズムを

「裏切り者検知モジュール(装置)」と呼び、人間は悪者をすばやく発見する装

置を備えた生き物だと指摘しています。


ですから、利己主義者が本性を隠して表面を取り繕っていることを、私たちは

ほんのささいな言動からでも敏感に察知します。たとえば、いい人だと思ってい

た人物が店員にとった横柄な態度を垣間見たり、目が笑っていないことを発見

した瞬間に感じる違和感などがそれです。


次に写真を用いた心理テストです。まず、たくさんの人々の中から心理テストを

通して「極端に利己的な人間」と「非常に正直な人間」を選別し、彼らの顔写真を撮ります。そして、それを全く予備知識のない人たちに見せます。すると、多くの人が彼らの外見に滲み出る人間性を敏感に嗅ぎ取り、利己主義者と正直者を見分けることができたという実験結果があります。つまり人は初対面の相手ですら「自分勝手なヤツ」を見抜けるのです。

(1)や(2)の原理の結果、利己主義者には真の友人やビジネスパートナーができません。一方、配慮範囲が広く利他性の高い「いい人」には、いい人も悪い人も寄ってきます。相手の利益を考え、裏切ることもない人と一緒にいると得なので、誰もがその人と一緒にいたくなるからです。

この場合、いい人は、心理学上のマゾでもないかぎり、必然的にいい人のほうをパートナーとして選びます。はじかれた悪い人は、結果的に、残った悪い人同士でタッグを組むしかありません。1人よりはマシだという心理が働くためです。