773 魔法使いルーフィ | たまふの書物語まりふ

773 魔法使いルーフィ

車窓を眺めていた、ドイツの神様の
視線の先を、ブルートレイン
が、横切った。


牽引機関車は、EF66型である。

電化路線専用の直流電気機関車であり
5200ps。



モーターを唸らせながら、東京に向かって通過。


原発誘致が起こらなかったので、日本は
国内産業が未だ活発であり

寝台列車を必要とする国内環境だったのだ。


電化は、石炭産業の隆盛が続いていた為に

一部幹線に留まっていて


その為、未だ電気機関車EF66が
延命していたのだった。





ドイツの神様は、それを眺めて

ちょっと複雑。



「機械文明のパラダイムも変わってしまうのか」



と、進化的機械のほうを好ましく思う
ドイツ人的な感覚で、その情景を眺めた。







アメリカ合衆国でも、民衆の行動力が
少し減ったせいで



借金をしてまで、贅沢をしようと思わなくなった民衆を目当てに



貸金を行うような業者は衰退した。



即ち、リーマン・ショックは起こり得ないから
日本の金融市場を、投資家たちが
標的にする事もなかった。



ケネディは暗殺されず

長く、調和的政治家として
天寿を全うした。


その間、戦争も起こらなかったし
共産主義国家からの、よく言われるような
侵略も無かった。



西側の経済が魅力的でないなら、侵略も
起きるはずもない。



元々、頑ななケネディの姿勢が
東側を闘争的にしていた一面もあったが


朝鮮戦争も無かったので

韓国は一体だったし、中国とソビエトと
共和的に並立するようになり



それぞれを独立して共栄しよう、と

彼らは考えたようだった。





従って、アメリカ合衆国の一方的支配下での

ヨーロッパ経済支配は、そもそも発生する

事も無くなった。


人々が、誰かの利益を取り上げて
贅沢をしたい、と


そもそも思わなくなったのだ。