741 魔法使いルーフィ | たまふの書物語まりふ

741 魔法使いルーフィ

顔つきが、どうであれ
理想を得たひとの表情は、美しい。


それは、もちろん生物的な行動だから
生まれ持って記憶、遺伝子に残る[人間的な]
肯定的な人生を歩むひとの姿である。



言ってみれば、寄り添って互いに
人生を生きていくべき人類の在り方である。



彼の心の中には、それまで自己防衛の為の
戦う気持ち、ノルアドレナリンが満ちていたけど



理想の為に戦える彼となったいま、
心には壮大な気持ち、ドパミンが
満ちていたりした。



目的の為なら、どんな事でもできる。


幼い頃から意味もなく罵られていたせいで
彼は、自信を無くしていたけれど



女神に認められたせいで、その自信を取り戻した。








女神は、彼の未来を少し、覗いてみた。




田舎のローカル線の小さな駅で、委託駅員として

働く彼の姿が見えた。



笑顔で、駅舎からトイレまで掃除でき

嫌な気持ちにもならない。


それは、彼の[理想]がそこにあったから。





以前の彼だったら、自分を守る気持ちだけが
先に立って


ひとのつかったトイレ掃除など、とても
できなかっただろう。



でもいまは、自発的にそれをしている。



「これは、僕の駅舎なんだ」



そういう思いで、誰に指示されるでもなく
する、そういう姿は利用者をも感動させる。


列車が駅につくと、乗り降りに不自由する

おばあちゃんの手を引いてあげたり、荷物を持ってあげたり。



他ならぬ[鉄道]を愛する気持ちは

人々の社会を
愛する事でもあった。




そんな彼を、恋しい気持ちで見る
女学生の姿も、背景に生まれたりして。




そう、魂のある人は引き合うのだ。







フランスの女神は、一瞬で彼の未来を見て




「やっぱり、人って理想が必要なのね。損得みたいな相対じゃなくて、絶対的な」と



なんとなく、そう思ったり(笑)。