689魔法使いルーフィ | たまふの書物語まりふ

689魔法使いルーフィ

その電子が、もしかすると
元々は、生命体が崩壊して
自由に戻ったものであるかもしれず。

確実に、
宇宙の起源では、光子であったとする
素粒子物理学の理論からすると


元々は自由な存在であったものが、いま
電力として、列車を動かし


人々を旅へと送る存在になっていると言うのは
幻想的に、興味深い状態である。



かつては、そうして
旅する存在であったのかもしれない電子は
いま、インバータ基板からスイッチング素子を制御し

電圧を構成し、静電誘導効果を起こし


モーターを回転させる。



断続的なパルス幅が、電力を意味し


つまり、元々は光であった電子が
列車を動かし、熱やエネルギーとなる。



そうして、一見無駄なような
人々の旅は、走り始めるのである。




滑らかに力強い加速を保つ、14両の電車は
乗客の眠りを誘うほどの、静かな走りである。