681 魔法使いルーフィ | たまふの書物語まりふ

681 魔法使いルーフィ

その、
フリースペース、21時。

人影も減ってきた平日の地下。
衆人環境の中で抱き合い、唇を重ねる男女が一組。

フランスの女神は「はしたない」と、一言。
ドイツの神様「罪にならないのだろうか」

アメリカの神様は「よくやるねぇ(笑)」



めぐの国の神様は「ま、それが愛ならば救いになるだろうが」と笑顔で。



ふと、その横を
両耳イヤホンの若者が、音楽に救われている。



リサが、音楽で救われたように

ここでも、音楽がひとの気持ちを癒している。



音、波の重なりなのにそれが意味を持って。


彼が聞いていたのは、古いアイドル・ポップスだったけど
あきらめないで、がんばって、涙もわたしに分けてほしい。
あなたの勇気のそばにいたいから。と
明るく愛らしく訴える歌だった。

それも、歌を通じて人を和ませる愛。
そのぶんだけ、彼は救われている。





「不思議なものだな、音波が人を和ませるのは」と、めぐの国の神様が呟くと

ドイツの神様は、「心に愛があれば、それを音にして伝えられるのだろう」と、神秘的な事を音楽技法に乗せて(笑)音楽の国らしい言葉。



「ま、それは宗教じゃないけどね」と、アメリカの神様は

フリースペースに落ちていた雑誌の見出しを指差し、壁掛けTVのニュース映像を見た。



元クリスチャンのTVアナウンサー、名前まで

宗教的な[地の塩]と言う概念から取られた人物が

政治家の孫と婚姻し、顔つきまで嫌らしく変わってしまって

攻撃性が顔つきにまで出るような、人格を損ねる事態になってしまって。


挙げ句、不祥事で人前から去った。


そんな話。


「信仰じゃ救えないのかな」と、ドイツの神様


「心に愛がないからね」と、フランスの女神も
口調を真似た(笑)。