679 魔法使いルーフィ | たまふの書物語まりふ

679 魔法使いルーフィ

ふたたび改札を通り、サンライズ・エクスプレスが来るまで
地下の銀の鈴で待つ事にした、神様たち。
歩きながら、もう閑散としてきた駅の風景を眺めながら

これが旅情と言うものだろうか、なんて
それぞれに思う、4者。


地下1階銀の鈴からは、そのまま高架の東海道本線ホームに
エレベータで上がれるので、そこだけは優等列車らしい雰囲気である。


今は、新幹線がメインとは言うものの、旅の主役はやはり
長距離夜行列車だろう、などと言うのは
人間の感傷であろうか。




「コーノスケ・マツシタはどうして会社に家族の幻想を持ち込んだのだろう?
ソケット・アダプタの特許も公開して儲けをフイにしたり」と、ドイツの神様。


「そうして、日本は一体になって。日本全体が発展しようとしていたんだね。
そういう時代だったんだ。よく、ソニーの商品アイデアを真似したといわれるけど
彼は、そういうアイデアを安くみんなに提供するのが、マツシタの使命だと
思っていたはずだよ」と、アメリカの神。



「そうね、それもひとつの愛かもしれないわ」と、フランスの女神。




それがどうしてこんなに、日本はなってしまったのだろうと
それぞれ、思っている。


やっぱり、本当の日本人とは違うものが
日本人の顔をしてなりすましているようにしか思えない。



そう思う、神様たちだった。




愛があれば、思いやりも生まれるし
それは、たとえひとりで生きていたって変わるものじゃない。


それを、思い出すのが「記憶」だったら。