665 魔法使いルーフィ | たまふの書物語まりふ

665 魔法使いルーフィ

同じ頃、さっきのエスカレーター駆け足男(笑)は

東京ステーションホテルの部屋で、眠っていた。


別にに急ぐ必要もないのに、なぜか急がされてしまうのは
心に、なんとなく焦りがあったからだったりして。


それまでは、夜になっても眠れず眠っても、悪い夢を見たり

仕事先であった嫌な事を思い出したりして
浅い眠りを繰り返していたりした。


つまり、この男も
悪魔に心を奪われていたと言うよりは
心を弄ばれていたのだ。



それが、術のせいで
心に安定が得られた。


それまでは、育てられかたのせいか
皆を追う生き方しか出来ず
言いようもなく、焦らされていたが


術のせいで、ゆっくり眠れるようになる。



そうすると、男の心に浮かぶのは
幼い頃の、恋の思い出だったりして。



そんな気持ちになると、もう
エスカレーターで人々を押し退けるような
そういう気にはなれなかったりした。



薬がなくっても、健康を取り戻す事も出来る。


そういう事もあるのかもしれない。