584 魔法使いルーフィ | たまふの書物語まりふ

584 魔法使いルーフィ

「おじさん、疲れてる?」ミシェルは、
ロビーの椅子に座って、夜景を眺めつつ。


風邪を引いて、熱があったにしては
元気なのは、やっぱり若いから。



おじさん、いやいや、元気だと
いいつつ、声はかすれていて。


やっぱり、歳には勝てない(笑)。



「夜行って大変だね」と

ミシェルは言う。でも、おじさんは




「この列車も、なくなるからの、いつか。
それまではがんばるんだな。
ほれ、じいちゃんの列車だし」と

ミシェルたちから見た、じいちゃんの、と言う
言葉を使った。


おじさんにとっては、お父さんの列車。

それだけに、きつい夜行の仕事でも
降りる訳にいかない、と



そんな風に思っている。




そんな使命感、それも
生きて行くのに大切なこと。




仕事が、みんなお金儲け、みたいな

価値観がよく分からない、相場で価値が変わってしまうようなものの為に働くなら


それこそ、ギャンブルでもした方が
働くよりいい。


でも、そうじゃなくって。



愛する者の、住む国、みんなの鉄道を
運営する為に。



そう働くなら、それはとても尊い仕事になる。


そういう仕事をしていれば、その人は
気高い人になる。


皆から尊敬されて。




お金儲けのために拘泥している人々が
尊大に振る舞っても、得られない
尊敬、である。





そういう人々の気持ちが、夜行列車を
走らせている。