548 魔法使いルーフィ | たまふの書物語まりふ

548 魔法使いルーフィ

食堂車に集まる人の中には、アジアンの
人もいて。


その中に、日本人のおばあちゃんもいた。


口に合わない、洋食に困っていて。


お腹は空いているけど、でも仕方ないと

途方に暮れているのを

アジアンの、れーみぃは見かねて。

「めぐぅ、あの、おばあちゃん」と


ウェイトレス姿の、めぐに。



めぐと、れーみぃは

カウンターから、食堂車のレストランに出て。

「いかが、なさいました?」


おばあちゃんは、恐縮しながらも


「はい。ありがたい施しです。心して
いただきます」とは

いいながら、冷めてしまった
ヌードル、洋風のスープを
召し上がっている。



食習慣もまた、生まれながらに
繰り返し得たもので



長い間に慣れたものは、中々換える事も
難しいし


年を取ると、あっさりとしたものを
好むようになる。


アジアンでも、お米のお粥とかを
朝食べたりするのは

起きたばかりとか、体がそんなに
エネルギーを必要としないときに


頂く、そんな習慣があったりもする。




それも、細胞レベルで
あまり、細胞の増殖が起こらなくなるから

エネルギーを必要としないから。





「よし!」れーみぃは、キッチンに戻って


ショートパスタのような、ニョッキのような。


そういうものを作ろうとした。



その時、列車料理人のひとり、ちょっと怖いような雰囲気だった職人が


「リゾットのお米がある」と。



インディカのお米を、食糧庫から
一掴み。



それを、お鍋で茹でこぼして。


笊に上げて。



湯気の香気には、インディカ米の癖もなく

日本人の好みに近い、素直なご飯に近いものが。



「すごぉい!」と、れーみぃは驚く。

料理人の手練。それも、記憶の繰り返し。





おばあちゃんに、その、ごはんと


ソテー用の白身魚を、網焼きしたもの、それを

ソルトペッパーで作った、ゆず胡椒。




おばあちゃんに差し上げて。



「ありがとうございます、ありがとございます」と


おばあちゃんは、涙もろいから。




とても喜んでいた。




日本ふうのお澄ましを、職人さんは作って。


それも、おばあちゃんにとても喜ばれて。




「れーみぃ、いい事したね」と、めぐ。


れーみぃも、うんうん、とうなづいて。



みんなで、幸せになろうね、と
めぐは心でつぶやいて。


列車の揺れを、心地好く思いながら


北へ向かう、1列車で。




食堂車の料理人も、また、鉄道職員だ。


みんなのために、ひとりが居る。

ひとりのために、国鉄はある。