ここで架空のお話をしましょう。 あくまで架空です。
ある町にA子さんという女性がいました。年齢は30代前半。
父を病気で亡くしてからカラダの弱い母と二人暮らしで生活していました。
生真面目な性格で仕事熱心でしたが、逆にそれが災いして
友人を作るのがヘタな女性でした。
そんなA子さんにも恋人ができ 二人はいつからか
結婚を意識するようになったのです。
「初めてありのままの自分を受け入れてくれた男性。
贅沢できなくてもいい、ありふれていても普通の温かい家庭を築きたい」
彼女は心底願っていました。
互いにそれとなく結婚の話が出てきて
秋には挙式という流れになっていったのです。
ところが挙式寸前になって彼から別れを告げられました。
「なぜ?!どうして?!」どうやら彼は浮気をしていたようです。
彼女は結婚を意識していたので彼を許そうと考えていましたが、
彼の意思は固く はなしを聞こうともしません。
世界で一番信じていた彼に、一番ひどい裏切られ方をしたのです。
A子さんはあきらめる決心をしましたが、心をきりかえることは困難でした。
それからのA子さんはまるで生きながら死んでいるようで、
仕事にも身が入らず失敗ばかり・・・
親しい友人は慰めてくれましたが、それでも心は晴れません。
A子さんはすっかり心身喪失状態になっていたのです。
ある日A子さんは買い物に出かけた時に果物ナイフを買いました。
このとき彼女に深い意思などありません。リンゴを買ったのでついでに買っただけなのです。
「そういえば彼にもリンゴを剥いてあげたっけ・・・」
また当時の楽しかった思い出がA子さんを苦しめます。
そして彼を呼び出しました。 元の状態に戻りたかったのです。
元に戻るのはA子さんも無理とわかっていたはずなのですが・・・
彼がやってきました。A子さんは想いをぶちまけたのですが
彼の答えは無情でした
「 ままごと遊び みたいなもんだったのさ 」
たった一言でした。
A子さんの想いも、時間も、彼を生活面で支えてきたことも全て
「ままごと遊び」の一言で切り捨てられたのです。
A子さんの意識は飛びました (はっきりとした記憶がないという意味)
とっさに持っていた果物ナイフで彼に切りつけたのです。
しかし抵抗にあいナイフは地面に・・・
彼は背中を向けて去っていきます。
A子さんの意識は怒り憎しみ悔しさで正常ではなかったはずです。
彼女は手元近くにあったコブシ大ほどの石で彼を後ろから殴ってしまいました。
頭をおさえる彼と流れる血を見て、やっと我にかえったA子さん
「どうしよう!どうしよう!」
すぐに自分の車に彼を乗せ病院に向いました。
しかし当日は日曜日で近くの病院は休み。
A子さんはケイタイで救急車を呼び、その場で治療をうけ 事なきを得ました。
しかし、救急隊と一緒に来たのは数台のパトカー。あたりは騒然となります。
警察官がビニール袋に入ったA子さんが持っていた果物ナイフを
彼女の前に突き出し「 これはお前のだな?」と聞いてきます。
A子 「はい・・・」
警察官「 よし、○月○日○時○分 傷害致傷の容疑で逮捕する。」
A子さんの両腕に黒く冷たい手錠がかけられました・・・