イタリアはマルティナ・フランカで開催されたベルカントの音楽祭で
ハッセ『アルタセルセ』(1730年、ヴェニスでの初演版)が上演されました。
12月にはDVD(多分ブルーレイ)で発売されるようです。

以下・・ラジオ放送で聴いた私の印象です。

おおよそのあらすじ(多分あっていると思います。どなたか間違いに気がついたら教えて下さい)
  題名役のアルタセルセの父親であるペルシャの王、セルセがクーデターを目論む護衛隊長のアルタバーノによって殺害される。その殺害に使った剣を息子のアルバーチェに託すが、そのおかげで、アルバーチェは王殺しの罪を着せられる。
  アルタセルセはアルバーチェの友であり、又アルタセルセの妹のマンダーネはアルバーチェの恋人。又、アルバーチェの妹、セミーラはアルタセルセの恋人、という関係のなか、まさかアルバーチェが裏切って王殺しをするとは・・という葛藤などが生まれる。又、アルバーチェも無実でありながら、父親が犯人だとは言えず、思い悩む。
  そして裁判、アルタバーのは息子のアルバーチェに死刑判決を下す。
  死刑を待つアルバーチェの元にアルタセルセがやってきて脱獄させる。その後、やはり脱獄をさせようとやってきた父、アルタバーノは牢獄にアルバーチェがいないのを見、既に処刑されたと思い、アルタセルセを殺害しようと思う。
  アルタバーノはアルタセルセの戴冠式の時に毒入の盃を用意するが、アルバーチェはそれに気づき、阻止し、結局、王殺しの犯人もアルタバーノだと分かる。


今回の1730年のヴェニスでの初演版、元々の楽譜故なのか、それとも、楽譜の無い部分を補ったのかヴィヴァルディ『モンテズマ』のアリアが使われていました。他にもそのままヴィヴァルディのアリアなのかどうか、不明ですが、かなりヴィヴァルディっぽいテイストのアリアが見受けられました。

又、今回はキャストにバロックオペラで活躍している歌手が登用されていてかなり期待したのですが、マンダーネ役のマリア・グラツィア・スキアーヴォは表現力がいまひとつ・・といった感じでちょっと期待外れでした。

拍手はそれ程ではありませんでしたが、メガビーゼ役のアントニオ・ジョヴァンニーニは良かったです。結構女性っぽい声質ですが。

歌手に関してはソニア・プリーナフランコ・ファジョーリの二人が物凄い喝采を浴びていて、そのせいもあってなのか、若しくは元々そのような作品なのか、アルタバーノアルバーチェという、父と息子の物語・・といった印象。

アルタセルセ役はアニーチョ・ゾルジ・ジュステイニアーニで、テノール歌手という事もあってなのか、男っぽい印象でした。
対するアルバーチェ「無実だ~」「父上・・」メソメソ・・みたいな感じで、尚且つ空気が読めなさそう(アルタセルセに助けてもらった後、華やかなアリアを歌って観客の注目を一身に集めるw。)。このアリアは当時歌った歌手ファリネッリも好きだったアリアのようで、流石スター・ファリネッリ!と言った印象(苦笑)。

9月にCDが発売されるヴィンチ『アルタセルセ』では題名役はフィリップ・ジャルスキー
「アルバーチェはどこだ?」「野蛮人!」「助けに来た、生きろ!」みたいな役を演じるのが楽しみです。
又、細かい歌詞などが分からないのであくまでも音で聴いた印象なのですが、マンダーネセミーラも(多分アルバーチェの処遇をめぐって)激しく対立していそうで・・・ここもヴィンチではマックス・エマニュエル・チェンチッチヴェラール・バルナ=サバドゥスとの女の対決が楽しみ♪と思いました。

又、前後しますが第1幕でアルバーチェが捕らえられた所・・・
登場人物皆から「裏切り者!」「お前なんか息子じゃない!」だのなんだのレチタティーヴォやらアリアやらで責められているのを聴いて一瞬登場人物全員から裏切り者!ってアリアを歌われるのでは無いか?と笑ってしまいました。

コチラのブログにちょこっとだけアルタセルセの初日の模様が書かれています♪
南イタリア プーリア便り 番外編

又、ナポリ派を研究されている音楽学者の山田高誌さんがゲネプロをご覧になったようで、
「 アルタセルセ素晴らしかった。プリーナはもちろん2幕最後のpallido il soleが圧巻、でもアルバーチェ役のフランコ・ファジォーリがまた表現力、声質、技術どれもが素晴らしくマルティーナフランカまで来たかいがあった。12月にはdvdか予定なのでお楽しみに」
と呟いてらしてました♪
鍵がかかっているので本当は引用してはいけないのかもしれませんが・・スミマセン。

コチラのサイトにヴィンチ『アルタセルセ』のセットプランのような物が掲載されていました。
玉座についているのがアルタセルセだと思うのですが・・・
髪型や後頭部に張り付いている物が何なのか大変気になります!
分かる方はご一報を!