藤森照信の茶室学―日本の極小空間の謎/六耀社
¥3,150
Amazon.co.jp

日経新聞の書評で興味を持ち、読んでみました。

建築史家の著者 藤森照信氏の
海外(英国、台湾)でのお茶の経験からはじまり、
日本の茶室の歴史、利休の茶室、利休後、
そして建築家というものが日本に現れるようになった明治以降の建築家による茶室、
戦後の茶室、磯崎新との対談・・

という構成になっており、どの章も大変面白かったです。

イギリスには珈琲を飲む部屋(トルコ風内装)
煙草を吸う部屋(エジプト風又はイスラエル風内装)があるのに
何故、お茶を飲む為の専用の部屋が無いのか・・や、

利休が初めて2畳の茶室「待庵」を作った時のその成り立ち-
戦場の茶室として、使われていない建物を、その場にある材料を用いて
仮に作られたものではないか?という考察を図解を入れて説明。
とてもスリリングで面白かったです。

又、個人的には明治以降の建築家による茶室の項も大変興味深かったです。
辰野金吾や伊藤忠太(築地本願寺等を設計)がけったいな建築をデザインしていた事は
知っているのですが、日本とヨーロッパを結ぶもの・・として
イスラム、インド、中国・・と地理的に結びつけた西洋人の考えに
法っていたのですね。
又、ヨーロッパでの様々な芸術活動、アール・ヌーヴォーや分離派、バウハウスなどが
与えた日本への影響なども語られていて、流石に建築史家の著書!
という事で大変面白く読みました。