NHKで「グレースの履歴」を見てから、あまりにも素晴らしいドラマで、放映後も何回も録画を観ていたのですが、とうとうDVDを買ってしまいました。

時間が経つのを忘れてしまう程、登場人物の体験を共有している感覚に陥ってしまいます。尾野真千子さんと広末涼子さんが料亭で対峙して話をする場面があるのですが、広末さんの迫真の演技には引き込まれます。このドラマを観ていない方は是非お勧めします。

音楽も素晴らしく、映像に溶け込み、ドラマを一層引き立てています。想像を超えるような発想の作品で、調べてみると阿部海太郎さんの作曲のようです。もう一度、意識してドラマ中の音楽を聴いて見たいと思います。

以下、阿部海太郎さんのホームページから引用しましたので、御参照下さい。

『源孝志さんの小説を源さん自身の脚本、演出でドラマ化された「グレースの履歴」の音楽を手掛けました。旅先の南仏で亡くなった妻の愛車「グレース」のカーナビに遺されていた日本各地への旅の履歴を追う男のロードムービー。彼と、出会う人たちそれぞれの再生を描く物語です。エンディング曲の歌詞とヴォーカルは武田カオリさん。関根彰良さんのギターとBun Imaiさんのドラムとのセッションが格好良いです。

Composition and Piano: Umitaro ABE
Lyrics and Vocal: Kaori Takeda
Guitar: Akira Sekine
Banjo, Guitar: Hirofumi Nakamura
Percussion, Drums: Bun Imai
Strings: Erina Sato, Shiori Takeda, Sofia Waku, Mai Sato, Yoko Mitani, Kazuhide Iino, Kazune Koshikawa, Aya Fukui, Shunsuke Nishimoto 』

 

宇多田ヒカル「HIKARU UTADA SCIENCE FICTION」(ESCL5928-9)(SONY MUSIC)を聴いてみました。

今までLPレコードしか持っていなかったので、彼女のCDは今回初めて買いました。

SCIENCE FICTIONというタイトルの意味が良く理解できなかったのですが、彼女の音楽を一言で表現しているように思います。

「in the room」の歌詞に「夢も現実も目を閉じれば同じ」というのがありますが、私はこのフレーズがとても好きです。

夢と現実、生と死の間を彷徨する魂の不安定な状態を、量子学的にいう電子雲のように表現されています。彼女の独特な声(ある成書<1>によると尺八と同様の非整数次倍音の高周波成分を多く含んでいるようです)が、アコースティックな音とエレクトリックな音が絶妙に混在したドビュッシーも顔負けの和声(理論的に解明したいと思っているのですが..)に彩られ、宇宙的な世界へと誘う稀有な音楽を形成しています。

高周波成分を出しやすい母音が多い日本語の歌詞だからこそ、より心に染み入るのではないかと思います。彼女自身が、英語より日本語の楽曲を作っているのは、意識的なのか、無意識的なのかを本人に是非聞いて見たいところです。何かで彼女自身が、「生活ではほとんど英語を話しているのに、楽曲では日本語が殆どなのはどうなのかな。もう少し英語を入れようか。」と、どこかに書いていたように思います。でも子音が多い欧米の言語のみの楽曲ではこのような雰囲気は決して生まれないと思います。CDよりLPレコードで聴いた方が遥かに感動的で、今回買ったCDの音が物足りなく感じたのはこれと関係しているかも知れません。

予約しているLPが楽しみです。

<1>中村明一著:『倍音』(春秋社、2010年)

広末涼子の写真集です。元々ファンではなかったのですが、「おくりびと」、最近では「グレースの履歴」での演技を見て、素晴らしいなと思いました。若い時はアイドルという目でしか見ていなかったのですが、静かな演技の中に人間的な深みを感じ、まさしく女優という感じでした。思わず、この写真集を買ってみました。どの写真も素晴らしく、彼女の内面の深さ、人間的な成長を感じ、どのページも見入ってしまいました。

「セクシーな女性」の新たな基準を見る思いです。

今後の彼女の演技を楽しみにしています。

*

時々疲れた時に、不思議と定期的に聴きたくなるのがイタリア協奏曲です。

グールド自身もインタビューによると定期的に弾きたくなる楽曲のようです。

グールド以外ではヒューイットの演奏が好きですが、圧倒的にグールドの20歳後半に録音したのが最高です。他の演奏家で繰り返して聴きたくなるCDはありません。

第3楽章の疾走感、集中力感が何といっても圧巻で、約3分間という速さです。何回もリピートして、繰り返して聴いてしまします。

晩年の録音も味があっていいのですが、若い時の録音の方がやはり若々しくて新鮮です。

第2楽章についてはヒューイットの考え抜いた、感情の籠った、飽きさせない、熟練した技巧に惹かれてしまいます。似たようなフレーズの繰り返しが多いところを、飽きさせず感情移入して聴くことが出来るのは流石と思いました。自分でも以前に弾いてみたのですが、一見簡単で、単純そうに見えるメロディを魅力的に弾くのは試練の技です。

何といってもグールドのイタリア協奏曲の特に第3楽章はㇲカーッとしてストレス解消に最高です。

 
福田ひかりさんのインベンション&シンフォニア(KCD-2096)(ピアノ:ベヒシュタイン)を聴いてみました。
今までグールドのインベンションを参考に自分でも練習していたので、何気なく購入しました。
ゴロっと横になって聞き始めたのですが、聴き慣れている曲なのに何にか今まで聞いたことがないような錯覚に落ちてしまうような感覚に襲われ、思わずこれがインベンションなのか飛び起きてCDジャケットを確認した程でした。そこで初めて不等分平均律で弾かれたことを知りました。
とにかく新鮮で、音がクリアで、響きが美しい。言葉では表せない感覚でした。このCDが大きな話題にならないのが不思議です(私が知らないだけで話題になっているのかも知れません)。
私が聞いているオーディオはハイエンドではない普通のオーディオなのですが、ハイエンドで聴いて見たくなりますし、ハイレゾ音源にすればさぞ美しいのではないかと思います。
このCDでインベンションの新たな美しさを大発見しました。また、不等分平均律についてもっと知りたくなりました。これから私のインベンションのスタンダードになりそうです。