バッハのバイオリン協奏曲全集(AN28893)[ジェイムズ・エーネス、川崎洋介、アレクサンダー・シェリー、ナショナル・アーツ・センター管弦楽団 他]がナクソスの注目盤になっていたので聴いてみました。
聴いてみた最初の感想は、とにかく空間の広がりが凄く感じられることです。CDの中にある写真に録音風景があるのですが、第1バイオリンの近くに多くのマイクが設置されており、周りのオーケストラにはマイクが少ない印象です。その為か、楽器の遠近感が明瞭に感じられ、第1バイオリンの音がしっかりしており、力強く感じます。その分、伴奏楽器の輪郭がややぼやけているようにも思います。ただ、今までに聴いたことがないような新鮮な感覚で、とても魅力的な録音と思いました。ホールの空間的特徴なのか、マイクの設置場所なのか、エンジニアの感性による調整なのか、素人の私には分かりませんが、必聴のCDです。続けて繰り返して10回以上聴いてしまいました。尚、古楽器合奏団カフェ・ツィマーマンの「J.S.バッハ:様々な楽器のための協奏曲集」(αレーベル)も私のお気に入りのCDですが、これらの録音は、マイクと楽器の距離感が近く、複雑に絡み合う各旋律が明瞭に聞き取れ、音の輪郭も明瞭で、繊細ながらも生き生きとしています。
ジェイムズ・エーネスさんのことは全く知らないのですが、写真で見る限り、端正な顔立ちで、誠実そうな性格のように見えます。髪型もきっちり分けて、サラリーマン風です。演奏も人間性を反映してか、きっちり、しっかりして、丁寧な印象です(勝手な感想です....)。
ハープシコード協奏曲1番D minor(BWV1052)と3台のハープシコード協奏曲D major(BWV1064)は私の超お気に入りですが、このバイオリン復元版はなかなか新鮮で、「あつ、こう来たか~」と予想外の展開もあり、興味深く聴きました。バッハ自身の原曲が残っていればもう少し違っているところもあるのかなぁ~と思ったりもしています。
NAXOSのホームページの解説によると、レーベル名のANALEKTA(アナレクタ)はギリシャ語で「選りすぐりのものを集めた」といった意味で、カナダの音楽業界でマネージャーを務めていたマリオ・ラベにより1987年に創設されたようです。
以下、このCDの解説をナクソス・ジャパンのホームページからそのまま引用します。
【現代カナダを代表するヴァイオリニストの一人ジェイムズ・エーネス。近年ではCHANDOSやONYXなど英国のレーベルでの活躍も目覚ましいところ、今回は久々にフランス語圏カナダのANALEKTAからのリリースです。
同レーベルでは21世紀初頭に無伴奏曲やチェンバロ奏者リュック・ボーセジュールとのソナタ群などバッハ作品を録音し好評を博していますが、今回は満を持してのバッハの協奏曲録音。「志を同じくするパートナーがいなくては録音できないと思っていた、30年にわたる共演歴を通じ、その理想を満たす存在と思い当たり録音に臨んだ」とエーネス自身がライナーノートで語るオタワのナショナル・アーツ・センター管弦楽団とのアンサンブルはまさに一心同体、エーネスならではの端正かつ誠実なアプローチを受けてカナダの演奏陣も意欲充分にバッハの世界へと分け入ってゆきます。
18世紀当時の解釈スタイルを志す古楽器演奏やピリオド・アプローチが身近になって以降ならではの、作品の造形をよく捉えながら隅々まで生気が漲ったアンサンブルの妙は、何度でも嚙み締めたくなる味わい深さ。失われたヴァイオリンのためのソロ・パートを鍵盤向けに移したと言われるチェンバロ協奏曲群からの原曲復元はエーネス自ら「可能な限り原作を崩さず、原作の様式内と思われる補筆に留め」行っており、一貫性ある解釈のこだわりあればこその比類ない音楽美を味わえます。】





