連休初日、友人に誘われて、三菱一号館美術館で開催されている「ヴィジェ・ルブラン展~華麗なる宮廷を描いた女性画家たち~」 に行ってきました。



The Best of Times



フランス王妃マリー・アントワネットと同じ年に生まれ、後に彼女の「お抱え画家」としてアントワネットを始め数々の王侯貴族の肖像画を描いた、ビジェ・ルブラン。


彼女が描いた時代の肖像画は、池田理代子さんの劇画「ベルサイユのばら」に登場した貴族たちが多く、美術館のあちこちに懐かしい!?(笑)名前がありました。

私を誘った友人はベルバラフリークで(笑)思わず漫画の色々な場面を思い出したり(^^ゞ

図録の解説によると日本で初めてルブランの名前を登場させたのは池田さんの「ベルばら」だそうで、池田さんの下調べも含めた歴史への造詣の深さもこの作品がただの少女漫画にとどまらなかった要因のひとつかもしれないと思いました。


マリー・アントワネット。

オーストリアの母マリア・テレジアに送るために多くの画家に書かせたどの肖像画も気に入らなかったアントワネットが、ルブランの絵にほれ込んだというその肖像画は、威厳と穏やかな女性らしさを感じさせるものでした。



The Best of Times


ポスターにもなっている絵ですが、この額がまたとても素敵で。

柔らかい色使いもきれいで、やはり生で見ると雰囲気がありました。



ポリニャク侯爵夫人。

The Best of Times


「ベルサイユのばら」の中でしか知らなかった女性ですが(笑)今回、初めて肖像画を見て(ちょっと感激でした(^^ゞ物腰柔らかく優しそうな佇まいの女性で、アントワネットの寵愛を受けていたのがわかるような気がしました。


そして、ルブランの自画像。

 


The Best of Times



初めて「日曜美術館」でこの絵をみたときにその愛くるしい美しさに目が釘付けになりました。

このほかにも数点自画像がありましたが、やはり美しい女性だったんだなという印象です。


本人の美しさはもちろんですが、どの肖像画も気品と威厳を兼ね備えた優しい美しさがあり、美しい画家にこんな風に描かれたらさぞ気持ちよく、嬉しかっただろうなあと彼女の人気の理由を垣間見たような気がしました。

現実は昔も今と変わらず、色々な人間模様があり、貴族といえどもいつも心優しく美しくはいられなかったかもしれないけれど、そんな人々にとって「こんな風になれたら」という理想の姿を描いてくれたルブラン。

「その人のよいところを引出し、華やかに美化」してくれる画家でもあったといわれていますが、それは大事なことでもあるかもしれません。


モデルとして画家の前に立っている時間、そして絵が完成したときの幸せな気持ちが、それぞれの肖像画から伝わってくるようで、絵から声が聞こえてくるような錯覚に陥りそうになりました。


今夜TVで見ていたロイヤルウェディング。

全世界に中継され、美しいドレスや鮮やかな軍服、教会の中も馬車が走る様子も、まるでその場にいるようなクリアな映像でしたが、まだ映像も写真もない時代の宮廷で残しておくことができるのは絵画だけ。

それだけに絵画に託される使命も想いも大きなものだったんだろうなあと。


18世紀のロイヤルの余韻に浸ったまま、今世紀の中継を見ながら、タイムスリップしたようで不思議なでもどこか幸せな夜でした。