12/12(日)、座高円寺にて「第16回劇作家協会新人戯曲賞公開審査会」 に参加してきました。

先月劇場でもらったチラシの中に「審査会を見せる!同時にこれは演劇論のたたかいでもある」とのフレーズとともに、斉藤憐さん、渡辺えりさん、横内謙介さん、マキノノゾミさん、ケラリーノ・サンドロヴィッチさん、坂手洋二さん、佃典彦さんの写真が。

何とも豪華な顔ぶれに、いったいどんなイベントなんだろうと調べてみると・・

一次・二次審査により6作品に絞られた最終候補作品の中から、審査員たちの討議を経て今年度の新人戯曲賞が決まる、その選出過程そのものを舞台に上げる審査会です。
審査員は、応募者の希望が多かった順に選ばれた7名の劇作家たち。
作風の異なる劇作家たちが、最終候補6作品をどう読みどれを推すのか。
それぞれの演劇の立脚点が見える公開討議は、極めて公正な審査であるとともに、これからの演劇を探る場でもあり、また極上のエンターテイメントの要素も持っています。

~劇作家協会HPより~

自分にとってもなじみの深い、舞台を観たことがある劇作家たちの選ぶ戯曲とはいったいどんなものなのか、そしてその戯曲についてどんな意見を持っているのか・・尽きない興味が湧きあがり、その場で参加を決めました♪

同じ戯曲を読んでいても、それぞれいいと思うポイントが違うのが興味深く、その意見を聴いているとその作家の作った舞台が浮かんできて、ああこう感じる人だからこの作風になるんだなあということが見えたときに、これまで観てきた舞台が自分の中でより深くなったと感じることができる喜び。

舞台が生まれる一番初めのところにいる創り手の人たちの頭の中を覗ける楽しさ、面白さ。

その過程を知ることで新たに生まれる理解と発見と広がり。

当日もらった案内にも書いてあったのですが、まさに知的愉楽のエンターテイメントそのものでした!


どの演出家の方の発言も非常に興味深かったのですが、中でも、始まってすぐに討議の口火を切り、終始その中心にいた渡辺えりさんの存在は、ディスカッションの活性化の大きく役だっていたように思われます。

すでに一冊の戯曲集になっているノミネート作品には山のように付箋が貼られていて(笑)脚本への疑問も共感もストレートでとにかく熱く語り、男性陣が口をはさみそびれる(笑)場面も度々でしたが、女性演出家としての自負とこれだけは譲れないという理念や、何よりも演劇への愛情と情熱がびしばしと伝わってきて圧倒されました。

唯一その作品を観たことがない佃典彦さん。渡辺さんとの応酬!?(笑)が場内を沸かせていましたが、佃さんの意見を聴いていると、彼の作品も観てみたいと思わされました。


審査の結果は激論の末、初のW受賞(「トラックメロウ」(平塚直隆さん)、「ここまでがユートピア」(鹿目由紀さん))に。おめでとうございます!

選ばれた作品は、意見を聴いているだけで台詞の魅力や、役者が動いたときの姿など、舞台になった絵が浮かんでくるようなところがありました。

そしてそう思わせてくれる審査員の方たちの言葉。

それは舞台を創り続けている人だからこその説得力があり、モノを創る人の情熱と愛情がありました。


もっともっと創る人の言葉を聴いてみたいし、これからも聴いてきたい。

そしてもっともっと舞台を深く知ってきたい。

そう思わせてくれる実に刺激的な体験でした!

来年も是非参加したいと思っています。

これからも魅力あるオリジナルの脚本が数多く生まれることを願って・・。


今回初めて話を聞いた佃典彦さんのインタビュー記事を見つけました。→コチラ

「書きたいものがある人が小説家になり、見たいものがある人が劇作家になる」という言葉が印象的でした。


舞台という設計図の中で、何が見えるか、何を見せるかを頭に描ける才能って・・すごいなあと・・。


作家という存在は私にとって永遠に憧れの存在かもしれない・・とあらためて感じました。