初めて劇団M.O.Pの舞台を観たのは去年の8月。

プレファイナル公演の「リボルバー」でした(そのときの感想はコチラ )。


「こんな大人で素敵なお芝居を演じてくれる劇団があったなんて!」との嬉しい驚きと「なぜもっと早くから観ていなかったんだろう」という後悔とそして何よりも「間に合ってよかった!」という思い。


最後の公演も必ず観ようと心に決めたあの日から早1年。

また新宿紀伊国屋ホールでの熱い夏が巡ってきました。


劇団M.O.P最終公演「さらば八月のうた」

The Best of Times


初日とそして幸運にも千秋楽を観劇することができました。


ちょっと遅ればせながらではありますが、熱くそして幸せだった紀伊国屋ホールの思い出を・・。

(またしても長くなるかもしれませんが、よろしかったらおつきあいください(^^ゞ)


ある1曲のうたを通して、様々な人の出会いと別れが、時空を超えて折り重なっていく・・。

その中には劇団の26年間の歴史も、キャストの歴史も、そして日本の歴史も込められていて。

初めてM.O.Pを観た人にも、これまでずっとM.O.Pを観てきた人も、お芝居を観ながら共にその歩んできた道に思いを馳せることができる・・・そんなマキノノゾミさんのM.O.Pに捧げるオマージュにあふれた舞台でした。


「今年もまたM.O.Pの舞台に会えた」という喜びと「いよいよ最終公演が始まってしまった」という寂しさが一緒になったような独特の雰囲気だった初日。最後、感謝の面持ちでいつまでも客席に拍手をしていたキムラ緑子さんの姿が印象的でした。


無事初日の幕が降り、ロビーで配られたのは昨年の舞台「リボルバー」のポストカードが入ったお手製のエコバック。


The Best of Times


高知県での最終公演で高知演劇鑑賞会の方が緑子さんが載った新聞でお手製バックを作ってくださったそうです(緑子さんブログより )沢山の方のM.O.Pへの愛情を感じ温かい気持ちになりました。


そして千秋楽。この日の舞台は私にとって忘れられないものとなりました。


この貴重な瞬間を何ひとつ見逃さないようにと舞台を見つめる観客に対し、舞台の上の人々はいつも以上に平常心でこれまでの集大成のような味わい深いお芝居をみせてくれました。


本編が終わり、暗がりの中、最後の演奏(マキノさん曰く本編とは何の関係もない演奏 笑)のためにメンバーがひとりひとり舞台に出てきた瞬間、ああもうこれで最後なんだなあと思ったらとめどなく涙が流れてきました。

どの人の顔も生き生きと輝いていて、幸せそうに演奏する姿にこれまで積み重ねてきた歴史が重なって、言葉にならない思いが胸に迫りました。


そしていったんハケたメンバーがカーテンコールで出てくる前にすでに客席は総立ちに。

客席を見た瞬間に目が真っ赤になり、顔を覆ってしまった女優陣。マキノさんがしゃべろうとするも、拍手が鳴りやまず声が聞こえません。やっと喋りだしたマキノさんが時折声を詰まらせながら「劇団を始めてからずっとこの紀伊国屋ホールで上演するのが夢でした。最終公演の千秋楽、満員のお客様の前で終わることができて本当に幸せです。ありがとうございました」と話すとまた割れるような拍手が。感無量の劇団員とマキノさんの表情を見ながら、この場所にいることができた幸せを心から感じました。

観客の持つ感謝と幸せな気持ちが形になったスタンディングオーベイション。だからこそ、舞台の上にいる人たちも「やっててよかった」という限りなく幸せな気持ちなれるのではないかと。最近は形式化してしまったような感がありますが、本来はこういうものだったのではないかとあらためて実感した瞬間でした。


休憩をはさんだ後は、千秋楽だけのイベントがあり、全員のサイン入り公演ポスターと各メンバーがそれぞれ観客への感謝をこめて自分で選んだプレゼントが座席券抽選で当たった方に贈呈されました。


このプレゼントにも各人の個性が表れていて(シャガールの画集がチョイスされていて、おおっ!と思ったり(*^_^*))興味深く楽しかったです。

最後はマキノさんのサイン入り全台本が、一番後ろの席の男性に当たり、嬉しそうに両手を挙げている姿によかったなあと。舞台同様にとても温かいものを感じたイベントでした。


全キャストが集合して、観客と歓談する和やかな雰囲気のロビーを後にし、出口でメンバーの林英世さんから最後のポストカードをいただいて・・忘れられない一日となりました。


スーパーヒーローではなくどこにでもいる市井の人々。それぞれが苦しみや弱さを抱えながらも心に持つ志。

マキノさんの脚本から感じる「志」に私はいつも心惹かれます。そしてその志を持つ人物を魅力的に演じるM.O.Pのメンバー。長年ともに舞台を作ってきた「あうん」の呼吸と、それでいてなれあいにならない緊張感あるお芝居。個性が強く魅力的な女優陣を懐深く支える男優陣。大人の関係が成立するからこその粋でカッコイイと思わせてくれるM.O.Pの舞台。それは、まさに私が探していた、観たかったものそのものでした。そんな関係だからこそ、それはきっとずっとは続くことのない見果てぬ夢でもあるのかもしれません。わずか2作ではありましたが、出会えて本当によかった!この目で観ることができて幸せでした。


最後の京都公演の成功を、そしてM.O.Pの皆さんのこれからに幸多かれと祈っています(*^_^*)

素晴らしい思い出をありがとうございました!


舞台の詳しい感想は来年DVDが届いたらゆっくりと・・・(笑)


長々とおつきあいいただき、ありがとうございました(*^_^*)