この週末は、おとなしく1月に観た舞台を振り返っている予定だったのですが・・(^^ゞ ついに誘惑に負けて!?駅から近いし、地下から行けるし・・と言い訳しつつ(笑)粉雪舞う昨日(2/13)劇場に出かけてきました(*^.^*)


出かけた劇場は紀伊国屋ホール・・といえばSISカンパニー公演「えれがんす」 です。


この公演の情報を知ったときから、魅力的なキャストばかりで観てみたいと思っていたのですが、先月末の思わぬアクシデントで諦めかけ・・ちょうどそのとき、友人から別の舞台(明日観賞予定です 笑)を観て文句のつけようがないくらい面白かったと聞き、つい誘惑に負けて「きっとその頃は足もよくなっているはず!」と根拠のない予測とともにチケットを入手(笑)同時に、それならこの舞台も観ておきたい!と行くことにしてしまったのでした(^^ゞ



翌日の千秋楽を前にギッシリ埋まった客席に座り、その熱気を感じながら久しぶりの観劇にワクワク。


かつてシンクロナイズドスイミングのコーチだった女性とフイギュアスケートのコーチだった女性2人の現在と過去にまつわる人々とのやりとりを中心に、ある1日が描かれています。

ちょうどこの日はバンクーバーオリンピック開幕の日で、タイムリーな観劇となり、より一層この舞台の臨場感を味わうことができました。



シンクロのコーチ川上あい子を演じる木野花さん。

舞台を拝見するのは初めてですが、さばさばした物言いと挫折と立ち直りを経験したからこそのにじみ出る哀愁が、あい子の人生を感じさせます。渡辺えりさんとの台詞の応酬も小気味よく、笑わせてくれたかと思えば、人生を振り返るような場面ではまるで映画のワンシーンのような切なさがあったりとそのキャリアを実感しました。


あい子の友人でフィギュアスケートのコーチ鶴岡真紀子を演じる渡辺えりさん。

登場しただけで客席を沸かせられるえりさんのキャラクターが真紀子(鶴ちゃん)にピッタリ!

つい本音を言っても愛嬌がありどこか憎めない鶴ちゃんは、このストーリーのムードメーカーでもあり、えりさんならではの役どころでした。

時々台詞をかんだり飛ばしても強引にそのキャラクターで処理!?してしまうのはえりさんのお芝居でちょっと気になるところでもあるのですが(シリアスなもののときなど)この作品ではそれがいい方に作用していたように思います。何よりも客席を味方につけてしまえるところが彼女の最も優れた才能のひとつかもしれないと感じました。


あい子の妹でかつてのマネージャーれい子を演じる梅沢昌代さん。

私がこの作品を観たいと思った大きな理由のひとつが梅沢さんでした。

梅沢さんのお芝居で何より惹かれるのが声に表情があることなのですが、メインのキャラクターとの絡みがあまりなくても、台詞を発するだけでれい子という人が伝わってくるのはさすがだなあと。

これからも観続けていきたい女優さんのひとりです。


あい子の事務所で働く韓国人留学生イ・スミンを演じるコ・スヒさん。

「焼肉ドラゴン」を観た方から素晴らしかったと聞いていたので、是非一度彼女のお芝居を観てみたいと思っていたのですが・・本当に魅力的でした!

後半、彼女が爆発するように台詞を発する場面などは、その瞬間に舞台の空気が一変するのが伝わってその求心力に驚きました。えりさんにも負けないすごいパワー(笑)を持ちながらもとぼけた味わいと可愛らしさもあり、「焼肉ドラゴン」で数々の賞を受賞したのも納得の演技でした。

日本語がお上手なことにもビックリ。是非また日本でも舞台に出てほしいなと思います。


かつてあい子を取材したスポーツライター宮優を演じる八嶋智人さん。

パワーある女優人がそろった舞台でしたが(笑)八嶋さんの上手さがいい意味で引き立った部分も大きかったように思います。いかにも嫌味でいやらしい人間を実に上手く演じながらもさりげなくちらっと覗かせるその奥の部分の出し方のバランスが絶妙で、これまた八嶋さんにピッタリ。昨年同じく紀伊国屋ホールで上演された「夜の来訪者」の八嶋さんにはちょっと違和感があったのですが、この宮というキャラクターははまり役だったのではないかなと思います。


あい子・れい子姉妹と深い関わりを持つ原悦太郎を演じる中村倫也さん。

今回初めて拝見しましたが、最初登場したときはいかにも線の細い(草食系!?笑)男子という印象だったのですが、周りの濃いキャラクターの中(笑)に溶け込んで受けのお芝居がとても自然で、やはりこの役にとてもよく合っていたように思いました。6人という少ないカンパニーでキャリアのある方達と舞台にたつのはとてもよい経験だったのではないかなと思います。また違ったキャラクターを演じる中村さんを観てみたいと思いました。


泣いたり笑ったりしながらのあっという間の90分。

短いけれど人が感じる色々な気持がぎゅっとさらっと詰まっていて。

そしてそれぞれの役者さんがぴったり役にはまっているからこそ、短い台詞のやりとりの中にもそれぞれの人生が後ろに透けて見えて笑いながらも涙が出たり(涙を拭きながら爆笑したお芝居は初めてだったかもしれません 笑)観終わったあとの心地よい爽快感は久しぶりに味わうものでした。

これだけキャリアもあり個性も強い役者さんを配しながら、それぞれのよさを上手く引き出してピッタリの役を書いた脚本演出の千葉雅子さんに心から敬意を表したいと思います。

おそらくそれぞれのキャストに当てて書かれたのではないかと思うのですが、この役がピッタリと思える人物を演じている役者が揃った舞台を観たときの気持よさもまた観客冥利につきるものではないかなと思いました。


千葉雅子さんの脚本・演出も初めての体験でしたが、これからも注目していきたいと思います。


久しぶりの外出に不安もありましたが(^^ゞ行ってよかったと心から思える舞台でした(*^.^*)


追記:観てよかったと幸せな気持ちでロビーに行くと、なんとパンフレットが300円!!

「シャドーランズ」に続いてのこの良心的なお値段に思わず禁を破って!?また購入してしまいました(笑)

演出家・キャストのコメントとお稽古場風景が載っているだけのシンプルなものですが、高くて持ち歩きにくい大きなサイズで広告ばかりのパンフレットを見かけることが多いのでf^_^;本来パンフレットとはこういうものなんじゃないかなとあらためて感じたのでした。