どんどん記憶が遠ざからないうちに(笑)1月を振り返ってみたいと思います。
というわけで、「1月に読んだ本について」です♪
・「ランナー」 あさのあつこ著
長距離走者として将来を嘱望された高校一年生の加納碧李は、複雑な境遇の妹を案じ、陸上部を退部することを決意した。だがそれは、たった一度レースに負けただけで走ることが恐怖となってしまった自分への言い訳だった。走ることから、逃げた。逃げたままでは前に進めない。碧李は、再びスタートラインを目指そうとする―。
「BOOKデータベース」より
(以下引用同じ)
あさのあつこさんの本は読んだことがなかったのですが、友人から「バッテリー」が面白かったといわれ図書館に行ったところ、いまだ全巻貸し出し中(!)かわりにと借りてきた1冊です。主人公碧李の抱える悩みや苦しみが「走ること」に重ねあわせて描いてあり、とても心の奥に響くものがありました。一見すると会話文が多く、さわやかな青春小説なのかなと思っていたのですが、読みやすい文体の中に表面的ではない人生の深さがあり、「バッテリー」が幅広い世代に支持されている理由がわかるような気がしました。今年中には「バッテリー」を読んでみたいです♪
・「サド公爵夫人」 三島由紀夫著
獄に繋がれたサド侯爵を待ちつづけ、庇いつづけて老いた貞淑な妻ルネを突然離婚に駆りたてたものは何か?―悪徳の名を負うて天国の裏階段をのぼったサド侯爵を六人の女性に語らせ、人間性にひそむ不可思議な謎を描いた『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)。独裁政権誕生前夜の運命的な数日間を再現し、狂気と権力の構造を浮き彫りにした『わが友ヒットラー』。三島戯曲の代表作二編を収める。
2005年に東京国立博物館で上演された「サド公爵夫人」(出演:新妻聖子 剣幸他)の録画を見る機会があったので、それと並行して読んでみました。三島由紀夫の戯曲は以前「鹿鳴館」を観たことがありますが、そのときに三島由紀夫の美学が息づく言葉が違和感なく役者さんを通して感じられたことに驚きました。格調高い文体でありながら観る人の生理を考えて書かれた会話に圧倒されました。この「サド侯爵夫人」の舞台はフランスですが、戯曲は日本語。それなのになぜかフランス語で読んでいるような錯覚を覚えます。フランス人には書けない、日本人だからこそ感じられる感覚かもしれませんが(太宰治の「駆け込み訴え」でも同じ感覚がありました)その言葉を感じ、味わうことができるのは貴重なことかもしれないと思いました。
2005年上演の「サド公爵夫人」は3/28(土)AM1:15~4:02 NHKBS2にて放送されます♪
・「三島由紀夫レター教室」 三島由紀夫著
職業も年齢も異なる5人の登場人物が繰りひろげるさまざまな出来事をすべて手紙形式で表現した異色小説。恋したりフラレたり、金を借りたり断わられたり、あざけり合ったり、憎み合ったりと、もつれた糸がこんがらかって…。山本容子のオシヤレな挿画を添えて、手紙を書くのが苦手なあなたに贈る枠な文例集。
「サド侯爵夫人」を読み終わった勢いで(笑)久しぶりに読んでみました。三島由紀夫の著書の中では一番のお気に入りです(笑)5人の登場人物のキャラクターがとにかく面白く、人間の純情もあざとさもウソもおかしさも罪深さも全て盛り込まれていて、くすくす笑ったり、そのかけひきにやられた!とうなったり。昭和30年代の女性週刊誌に連載されていたとのことですが、当時の女性週刊誌はちゃんと読み物として成り立っていたんだなあとその贅沢さがうらやましくなったりします。最後に載っている「作者から読者への手紙」の「手紙を書くときは相手はまったくこちらに関心がないところから書きはじめなければいけません」という一文は、時折ファンレターなるものを書く私にとって自戒の言葉として(笑)心に強く残っています。
・「ハゲタカ(上)」 真山仁著
ニューヨークの投資ファンド運営会社社長・鷲津政彦は、バブル崩壊後、不景気に苦しむ日本に戻り、瀕死状態の企業を次々と買収する。敵対するファンドによる妨害や、買収先の社員からの反発を受けながらも、鷲津は斬新な再プランを披露し、業績を上げていく。企業買収、再生の真実を克明に描いた問題作。
・「ハゲタカ(下)」 真山仁著
企業再生が軌道に乗りはじめた頃、鷲津政彦は元銀行員・芝野健夫、老舗ホテルオーナーの娘・松平貴子と偶然出会う。二人と接触を重ねるたびに、鷲津の過去が明らかになっていく。そこに潜むある事件とは?そしてニューヨークから日本に戻った鷲津の真意が判明した瞬間、驚愕のクライマックスが訪れる。
2年前にNHKの土曜ドラマで放送された「ハゲタカ」を見て興味を持ち購入したものの、なんと2年も放置・・f^_^; 年末の大掃除で発掘(笑)したので、読んでみました。ドラマでは使われていない部分も多く新鮮でした。経済紙に連載されていたこともあり、慣れない専門用語もありましたが、物語としての見せ場もあり面白く読むことができました。世界的な金融危機の今、日本のバブル崩壊を振り返ることができたのも興味深かったです。不況になると世の中をより深く実感する機会も増えますが、やはり日々の暮らしに実感はあっても政治となると遠いものだったりする部分もあったり・・。以前仕事帰りに通っていた簿記学校でご一緒した方が、「簿記の勉強は退屈かもしれないけれど、経済を知ることは政治を知ること、政治を知って世の中を知るのは大切なことなのよ」と話してくれたことを、この本を読んで思い出しました。続編も読んでみたいと思っています。(先になりそうですが・・)
映画もそうですが、本も時間がたって読み直すとまた印象が違ったりします。感想文は苦手ですが、そのとき感じたことを書きとめておけたらなあと思っています。
2月は体調に波があるので、ちょっとゆっくりペースで♪
~現在読んでいる本~
・「レボリューショナリー・ロード」リチャード・イエーツ著
レオナルド・ディカプリオ/ケイト・ウィンスレットの映画が公開中ですが、映画を見て原作に興味を持ちました。
映画では描けなかった部分が浮き彫りになってきています。
~これから読む予定の本~
・「歴史を変えた誤訳」鳥飼玖美子著
オバマ大統領就任演説に感化されて(笑)購入。鳥飼さんはNHKテレビ英会話が好きでよく見ていた憧れの女性です(*^.^*)
・「不道徳教育講座」三島由紀夫著
笑いが少ない毎日の潤滑油として(笑)購入。
・「言葉を育てる 米原万里対談集」
米原さんのエッセイも好きですが、歯に衣着せないトークも面白い!もう新作を読めないことが本当に残念です。
こうしてみると私は「言葉のプロ」に弱いのかもしれません(笑)肩のこらない本ばかりのような気がしますが、楽しみです♪