夫のトキオが死んで1年以上が経った。
幸せな家庭を築きたかった。
そのために全力だった。
倒れても何度でも立ち上がった。今度こそ、今度こそって。
頑張って頑張って、それでようやく人並みの幸せっていうものは保たれるんだと知った。
夫婦のどちらか一方だけが頑張っていても、上手くいかないんだと知った。
自分が苦しいときにこそ、相手を労うことが大切なんだと知った。
日常の小さな幸せが、涙がでるほど尊くて。
どんなに辛くても、強くなりたい・守りたいと思えるほど、大切で。
トキオと、娘のメイと、息子のピースケと、それから私と。
いつか離れるその日まで、仲良くしようね。
一緒にこの小さな宝物のような時間を重ねていこうね。
そう思っていた。
こんなに早く、こんな形で終わりがくるなんて、ウソみたいだ。
だけど、目覚めるたびに思い知る。
これが現実なんだって。
頭では色々考えた。
これからも考え続けるだろう。
無理してるつもりなんかないのに、「もう無理。やめて」って心が言う。
「まだダメだよ」って体が言う。
頭と心はイコールじゃない。
心と体は繋がっている。
自分がばらばらになってしまってまとまらない。
なんだかちょっと厄介だ。
だから、ちょっとずつ、両方の声に耳を傾けてみようと思う。
情けないから、弱さを認めたくないから、頭で心を押さえつけるんじゃなくて。
意地張ってないで、薬の力も借りて、その場凌ぎで症状を抑えようと思う。
そしてその間に、自力で抜け出せるようになるため、足掻いてみようと思う。
いつか、そのままの自分で進んでいけるように。