(2008年の日記より)

日本・韓国旅行記の話の続き。


日本の実家に前回帰った際は、風呂場と台所がリフォームされてい

て、しかも、新しい電気機器が購入されていた。 

俺は機械オンチではないが、人生の半分を海外

に住んでいる“浦島太郎”、

日本の新製品の情報はネットで知ってはいても、

実際に使ったことがないので、

こんな細かい情報はしらなかった。


その日(前回の帰国)、家族で再開を祝い、

食卓はご馳走と酒で盛り上がっていた。 


するとリフォームされた台所からなにやら

女性の機械音の案内がするではないか!  


炊飯器が、ご飯が炊けた事を知らせ、自動風呂沸かし機

が風呂の準備ができた事を知らせ、オーブンが、

料理が終了した事を知らせる!! 


俺はもうまるで映画の世界にいるかのような錯覚に落ちた。 

日本に住む友人に聞いて驚いたのだが、日本人はアメリカの方が、

電気機がすすんでいると考えている人が意外と多いようであったが

(店で売られている電機製品の性能・機能)、

いくら同様の日本製電気機が世界の市場に出回っていても、

やはり本場、日本で売られている日本製品の方が上を行く。 

同様の電気製品を比べても日本で売られている物の方

が性能は良いし、いろんな機能が付いている。


そんな日本のハイテク、“しゃべる電気機器”

に驚かされた前回の帰国であったが、

今回の帰国の際、両親からメールで聞かされてはいたが、

実家は再度のリフォームをしたらしい。 

今回は、風呂場の洗面所、2階の洗面所、家の全てのトイレであった。 

洗面所は日本のサイズとは思えないほどの大きなものになっていて、

とても使いやすいデザインになっていた。 

最近の日本のインテリアデザインもずいぶんとすすんだものである。 


そして、そのリフォームされたトイレには、

別に今ではめずらしくはないが、

ウォシュレットトイレになっていた。 


今まではごく普通の手動式のトイレであったが、

トイレに座ると横に操作ボタンがついていた。 

おまけにセンサーがついていて、いすに座ると(イコール、

男の小便でない状態)

用をたして立ち上がると自動的に水が流れる機能まで付いていた。 


この機能が付いているとは知らなかった俺、用をたして立ち上がったら

“勝手に流れた水”に驚いて手にもっていた、

穿きかけたズボンを落としてしまった。(笑) 


そして、そんな“ハイテクトイレ”にすばやく対応してしまった俺、

3週間後にオーストラリアに帰ってきて、自宅のトイレでウンコをして、

流さずトイレを出てきて、妻に絶叫された事は言うまでもない。




さて、その“ハイテクトイレ”、自動的に水を流してくれるだけでなく、

“自動的にケツを洗ってくれる”機能までついている。 

トイレの横の壁に付いているその操作ボタン、

マニュアルなんぞ読まなくても

分かりやすそうな操作方法ではあったが、

日本では今では公衆トイレにまで

あるくらい普及している。 が、海外ではまだ珍しい“ハイテク機械”

である。 


ある日本を訪れたアメリカ人の友人が日本でトイレに行って、

流すボタンと思って押したらケツに水がかかって、

「流したはずの汚水が逆流したのかと思ったよ!」

と“浦島太郎”の俺にもありそうな笑い話をしてくれたのを思い出した。 



そんな友人の笑い話を思い出しながら、日本に滞在した約2週間、

毎回、トイレにいく度に、日本の“ハイテクトイレ”に挑戦を試みた。 


実は俺はこの歳になって未だにウォシュレットトイレ

を使った事がなかった。 


いつかは“経験”してみたいと思っていたが、

いざそのモメントが目の前に出現すると、

どうも手が震えてボタンを押す事はできなかった。 



「下から棒がでてきて、その先から水がでてきて、

肛門めがけてジェット噴射がでてくる。 

そして、その後、ケツをやさしく包むように乾燥機が回る。」


そんなハイテクトイレのプロセスを頭の中でウンコしながら

シュミレーションしていた。 


そして、用をたし、“いざ”となると、正直そのジェット噴射

と乾燥機が怖くてボタンを押す事ができなかった。 

「ジェット噴射と乾燥機が肛門にあたるってどんな気持ちなんだろう?」

まるで、下ネタを語っているような質問だが、

真剣に悩んだ質問であった。 


ファイナル・モメントは、夕方の便に空港に向かう前に訪れた、

夕日が差し掛かった5時過ぎであった。 

「最後の挑戦! 今度こそは!」と心に決めて入ったトイレであった。 

しかし、そのファイナル・モメントになった際、肛門に降りかかる

ジェット噴射のFeelingと乾燥機のFeelingが怖くてボタン

を押す事はついにできなかった。


トイレから出てくると妹が心配そうに

「お兄ちゃん、下痢でもしたの? トイレ長かったね。」と言ってくれた。 



どうやら、俺は震える手を前に進めることなく、

ボタンを長時間眺めていたようである。